「来た、来た、来た」「怪物が飛んでいるような感じだ」。沖縄の怒りと不安が渦巻く中、きのう1日(2012年10月)に米軍の新型輸送機オスプレイ6機が山口県の岩国基地を飛び立ち、世界で最も危険な基地といわれる普天間飛行場に着陸した。
安全運用ルール守られる保証なし「できる限る遵守」の条件付き
強行配備の理由はどこにあるのか。防衛問題に詳しい帝京大学の志方俊之教授は、オスプレイの性能について「(従来機の)2倍の速さで、3倍くらいの重さのものを4倍くらい遠いところに運べる。性能が飛躍的に大きい。尖閣諸島から台湾の方まで行って帰ってこられる。戦略的には断然いい、というどころという比ではない」と解説する。
問題は安全かどうかだ。政府は安全性は十分確認できたといっており、「人口密集地を避ける 」「高度150メート以上を飛行」という運用のルールも設けた。だが、「できる限り」という条件がついており、実際に運用ルールを守るかどうかは疑問が残る。地元では反発が強まるばかりで、仲井真弘多知事も「こんな街の中の飛行場で使うのはどう見ても無理がある」と批判し反対の態度を崩していない。
アメリカ主要新聞「未亡人製造機とあだ名」
司会の加藤浩次がコメンテーターのロバート・キャンベル(東大教授)に聞く。「アメリカ国内ではオスプレイはどのようにとらえられているのですか」
キャンベル「未亡人製造機とすごく嫌なあだ名がついています。アメリカの主要な新聞の社説を読みましたが、沖縄の市民の声に耳を傾けるべきだと書いています」
加藤「野田首相は沖縄の皆さんの負担は国民全体で重く受け止めていく必要があるといっています」
精神科医の香山リカ「沖縄の人たちはオスプレイに対する不信感というより、日本政府に対する不信感が強い。最初から配備ありきの姿勢で方針をまったく変えない。安全というのは建前で、尖閣問題もあって日米同盟を強化しなければならないので、多少危険かもしれないが目をつぶって下さいという本音が透けて見えています」
キャスターのテリー伊藤「中国や北朝鮮の問題もあり、オスプレイを配備したいという米軍、日本政府の気持ちも一部は理解できる。しかし、全部の責任を沖縄に押し付けている。私たちは沖縄の皆さん、かわいそうだといいますよ。でも、テレビも新聞もそこで終わっている。普天間の近くに住んでいる人たちに何ができるか。辺野古にも移転できないとなると、オスプレイ基金みたいな形でお金を渡して引っ越してもらうとか。そういうことをしないと、かわいそうだけでは状況は変わらない」
たしかに、問われているのは具体策だが、問題はどちらの立場で考えるかだ。