党首になっても「次の一手」見つからない安倍と野田―解散・総選挙で「過半数」のメド立たず

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   26日(2012年9月)に行なわれた自民党の総裁選は、56年ぶりという決選投票の結果、安倍晋三元首相が5年ぶりに復帰した。民主党の党首選は21日、野田佳彦首相が圧勝して再選を決めており、次のステージの主役がそろった。しかし、ダブル党首選を見る有権者の目は覚めていた。

   「放り出しておいて、それはないだろう」(安倍批判)、「やり残したことがあるといっていた。新しい安倍日本を作って」(安倍擁護)、「いま期待しない。3年前は期待したけど」(民主批判)、「コップの中の争いやめろ」「日本のためになる議論してない」(与野党批判)と、まあボロクソだ。

自民党総裁選「2位争いの勝ち残り」という弱味

   面白さでいえば自民の方だった。「レコードでいえば民主はB面」と書いた新聞もある。次の選挙に勝てば首相である。ために5人も立候補し、1回目の投票で「だれが2位になるか」が焦点という奇妙な展開になった。地方票300に対して、国会議員票198と地方のウエートが高い中、地方では石破茂氏の人気が圧倒的だったからだ。だれも1回目の投票で過半数をとれそうもなく、上位2人の決選投票は国会議員だけになる。その2位を石原伸晃幹事長と安倍氏が競っていた。

   結果は石破199(地方165)、安倍141(地方87)で両氏の決選となった。石破は地方票の過半数をとっていたが、脱派閥志向で議員の受けはよくない。1回目の議員票は石破34、安倍54である。さあ、3位以下の候補の票がどう流れるか。

   安倍は5年前の「投げ出し」が負い目。派閥の長である町村信孝氏の制止を振り切っての出馬もあったが、陣営は迷わず議員票の掘り起こしに走って、麻生太郎元首相らの支持をとりつけていた。石破陣営で「次の選挙で応援しないぞという電話があった。来てない?」「あった、あった」という話が交わされる。安倍陣営からの切り崩しだ。安倍108、石破89という数字は、そうした結果だった。

   国谷裕子キャスター「党員の民意(地方票)とかけ離れた結果になったわけは何なんでしょうか」

   NHK政治部の原聖樹記者は「石破氏は『自民再生』を訴え、人事などでの派閥無視を保守派が懸念しました。安倍氏は外交・安全保障で『強い日本』、経済ではデフレ脱却・成長路線を訴えて成功しました」という。勝った安倍はただちに石破を幹事長にすえ、「選挙の顔」として地方での人気を生かす。2人とも早期解散では一致している。

すでに終わっている「2大政党」というシステム―ヨーロッパ型多党の時代へ

   一方、圧勝したとはいえ野田首相の立場は苦しい。若手が推した細野豪志氏が出馬を取り止めていなければ、結果は大いに違ったはずだ。70人もの離党者を出した責任、消費増税やTPPへの反対、党内で無視される議員の党運営への不満は強い。衆院であと9人離党者が出れば過半数割れになる。野田が「党内融和」を最優先とするのはそのためだ。そこで解散に消極的な輿石東幹事長を続投させ、細野をマニフェスト作りの政調会長にした。選挙の顔でもある。しかし、必ずしも展望が開けてはいない。

   冒頭の街の声は民主にも自民にも重くのしかかる。加えて「日本維新の会」という台風の目も現れた。たとえ解散・選挙となっても、どこかが大勝する情勢ではない。となれば連立か。

   まずは、特例法案と1票の格差問題を片付けないと国会は先に進まない。原記者は「政策を実現するにはどんな枠組みがいいか、有権者に示さないといけない」といったが、具体的なイメージは描けないらしい。

   結局は、三党合意にそった話し合い路線しかないだろう。2大政党という「数の幻想」はとっくに破綻している。民主主義は時間も手間もかかるという原点に戻る時ではないのか。ヨーロッパではどこでもやっていることだ。

ヤンヤン

NHKクローズアップ現代(2012年月日放送「『ダブル党首選』2大政党はどこへ」

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