国名こそ出さなかったが、国連総会の演説で「自らの主義主張を一方的な力や威嚇を用いて実現しようとする試みは、国連憲章の基本的な精神に合致せず人類の英知に反する」と批判した野田首相に、中国がさっそく噛みついている。
首相の国連総会演説に猛反論
中国外務省の秦剛報道は「自らを騙し他人も騙している」などと言い、中国政府のホームページには「日本は他人の領土を盗み取ろうとしているとハッキリと書かれています」(笠井信輔キャスター)という。メインキャスターの小倉智昭は「そんな文章が出回っているの」と呆れ顔だ。
笠井「きょう28日(2012年9月)、国連総会で中国の演説が行われますが、おそらくその席でもこの文章が配布されるものと見られています」
「中国共産党大会」でトップ交代が潮目か
小倉「この緊張状態はいつまで続くのだろう」
宮家邦彦(外交評論家)は「中国政府の本音は新しい日本政府と話し合いたい、仕切り直しをしたいということです。野田政権とは話ができないと考えているのでしょう」と分析する。笠井によると、「日中間を飛ぶ飛行機ではすでに6万席近いツアー客のキャンセルが出ています。日本から中国が2万席、中国から日本が4万席となっていて、これがいつまで続くのか見通しは立っていません」という。
小倉「こうした状態が長引けば、日本と中国双方の経済に影響が出るのではないですかね」
ショーン川上(経営コンサルタント)「共産党大会が始まれば沈静化すると考えられますよね。日中国交回復の時の田中・鄧小平会談で領土問題は棚上げしようという合意があった。その領土問題を表面化させないために尖閣諸島を国有化した、という説明を中国側にうまくできなかった。裏チャンネルを使っての説得にも失敗したようです」
おそらく、中国政府もそんなことは百も承知、二百も合点だろうが、「はい、そうですか」では国内が納得しない。そこで、少し暴れさせようということを決めたのだろうが、「人民」の不満は思いのほか強く、「反日」を口実に「全土で暴動」という事態になりかけて、慌てて抑え込んでいるというのが今の段階だろう。しばらくは日本政府批判を続け、次第に「日本の一部反動勢力批判」に対象をズラしていって、政府間で仕切り直しという戦略に見えるが…。