米軍の新型輸送機・MV-22オスプレイは、12機が山口県・米軍岩国基地で試験飛行が行われているが、今月中(2012年9月)にも沖縄の米軍普天間基地に配備されると見られている。オスプレイはこれまでに何度も事故を起こし、沖縄では配備反対の声が強い。キャスターの国谷裕子は「なぜアメリカはオスプレイの沖縄配備にこだわるのでしょうか。今月9日には配備に反対する大規模な沖縄県民大会が開かれるなど地元の不信が高まっています」と語る。
試験飛行区域の高知県本山町の改善要望もナシのつぶて
オスプレイの試験飛行ルートになっている高知県本山町の役場担当者は、「20年前から岩国基地の低空飛行練習が始まり、町民は悩まされ続けてきました。今回はオスプレイの試験飛行も始まり、新たな負担となります。国へ環境改善の要望を出したましたが、反応は何もありません」と話す。
宮下大輔(NHK社会部記者)は「新型兵器の配備については、日米間で事前協議をすることになっていますが、対象は核兵器やミサイルで、オスプレイは対象になっていません。オスプレイの試験飛行については、低空飛行はしない、住宅街の上空は飛ばないという取り決めになっているが、はたしてその約束が守られるか疑問です」と説明する。
「国を守る」から「国民・住民を守る」の時代
試験飛行ではなく、実際に配備される沖縄はもっと深刻だ。県庁は地域安全対策課をスタートさせ、オスプレイが起こした事故について100項目にも及ぶ質問状を政府に提出し、知事公務室室長の又吉進がアメリカに飛び、オスプレイの沖縄配備撤回を求めた。ゲストの植村秀樹(流通経済大学教授)はこういう。
「これまで沖縄は基地問題について受身でしたが、もう受身では済まされないという強い思いがあります。政府は丁寧に説明すると言いながら、一方通行です。冷戦時代には国を守るという意識が強かったが、現在は国民を守る、住民を守ると意識が変わっています。政府は積極的にアメリカへオスプレイ配備の説明を求めるべきです」
国谷「オスプレイの配備問題をきっかけに、日本政府が取るべき措置はなんでしょうか」
植村「政府が自らの姿勢を変える必要があります。政府の姿勢が変わらない限り、沖縄の基地問題は解決できません」
しかし、政府は沖縄の声に耳を傾けることなく、オスプレイに安全宣言を出し、普天間配備追認を決めた。野田首相のいう「決める政治」とは、オスプレイ配備にせよ、原発ゼロにせよ、世論を無視して強引に決めるということに他ならない。
ナオジン