スペインの田舎町の教会にあったキリストの壁画を80代の女性が修復したはいいが、似ても似つかぬ珍妙な絵になったことが話題になったのは夏の盛りだった。一目見ようという人たちでごった返した騒ぎは世界中に伝えられたが、今度は当の女性が教会を訴えるという。何を訴えようというのか。
Tシャツ、ワインラベル、マグカップ、スマホケース、格安航空券まで登場
キリスト画があるのはボルハという小さな町の小さな教会。絵も小さなもので、1910年に地元の画家が描いたのだが、壁の漆喰がはがれてぼろぼろになっていた。地元の自称画家のセシリア・ヒメネスさん(81)が修復を買って出て、こつこつとやっているうちに、まあ、だれが見ても吹き出してしまうようなキリストになってしまった。「世界最悪の修復」といわれたのだが、同時に面白いとばかりに、Tシャツになる、ワインのラベルになる、ケーキになる、マグカップに使われる。さらには「最後の晩餐」や「モナリザ」などの名画とモンタージュされたりの大フィーバーになった。
これはまだ続いていて、アイルランドの格安航空会社は、最寄りの空港まで片道1200円という便を飛ばす。件のキリスト画をあしらったTシャツ、マグカップ、スマホケースなどさまざまなグッズがネットで売られる。ラベルに使ったワインは5000本が完売で、さらに予約が2万本というから、物好きはどこにもいる。
文
ヤンヤン| 似顔絵 池田マコト