尖閣諸島国有化をめぐり中国本土の反日デモは鎮静化したが、今度は台湾が騒がしくなった。きのう24日(2012年9月)、台湾の3大漁港のひとつといわれる南方澳漁港から、70隻の漁船が尖閣諸島周辺海域へ向け出港した。「とくダネ!」は親日的といわれてきた台湾の抗議の背景に何があるのか探った。
農業、不動産、医療、外食、ホテル、マスメディアなども展開する「旺旺グループ」
南方澳漁港ではヒューン、ヒューン、ドドーン、ドドーンと花火が炸裂する。そばのテントに大量の生卵が置いてある。デモのためなのかと聞くと、「船で食べるためです」と緊張した表情で答える。異様な雰囲気の中での出発だ。船に掲げられた横断幕には「生存のために漁業権を守る」「釣魚台は台湾のもの」などと大書してある。
それら漁船にはある共通点があった。それぞれ旗を掲げているが、いずれも中国本土で幅広く事業を展開する台湾の企業グループのものだった。アナウンサーの田中大貴が説明する。「船には赤い横断幕や旗が目立ちました。そして、『旺』という字がたくさんありました。これは台湾の『旺旺グループ』のものです。このグループが作っているせんべいは、中国で1日3億枚食べられています」
もともと菓子のメーカーだったが、いまでは農業、不動産、医療、外食、ホテル、マスメディアなど、台湾だけでなく中国本土でも展開している。田中は「けさ(25日)の産経新聞に、台湾の実業家が活動費約1350万円を漁船に寄付したという報道があります。ですから、おそらくこの『旺旺グループ』がお金を渡し、それを燃料費にして出港したと思われます」と伝えた。
中国政府の意を汲んでパフォーマンス
外交評論家の宮家邦彦「中国に進出し、成功している台湾の企業は中国政府の意をくみ、それを自主的に支援する傾向がある」
国際ジャーナリストの竹田圭吾「台湾政府としては、日本との関係を維持する必要があるので、自分たちでは言えないことを企業に主張してもらいたいという背景があるのではないか」
中国、台湾、それぞれにさまざまな手を繰り出してくる。