「岩国で動きがありました」と司会の羽鳥慎一が「週刊人物大辞典」コーナーを途中で止めて、米軍岩国基地の滑走路が映し出された。Hと書かれたヘリパッドだ。オスプレイが1機、プロペラを上に向けたヘリモードで回している。上空のヘリから見下ろした映像だ。
現地の所太郎レポーターが「尾翼が赤い隊長機です」。といっても、彼がいるのは2キロも離れたところだ。なんだかんだ言ってるうちに午前9時20分、ふわりと浮き上がった。映像を見ていた東京の方が先に「浮き上がった」。所が遅れて「あ、飛び上がりましたね」「音は?」「よくわかりません」と頼りない。
10メートルほどの高度でそのままホバリングをしていたが、ゆっくりと向きを変えてまた着陸、そのまま滑走路へタクシングしていく。所定の位置についたのか、9時24分、プロペラを心持ち前傾させて滑走をはじめた。と思うまもなく、滑らかに離陸した。たしかにヘリとは違う。所の頭上に近いところを通過。今度は所も「ヘリよりははるかに音が大きいですね」。当然だろう。積載量がヘリの2倍はあるのだ。
水平飛行になった途端に猛スピード
隊長機はそのまま海上に出たらしく、スピードが上がる。取材ヘリが後を追う。と、26分、プロペラがやや前傾から水平モードになった。これも滑らかに移行していた。羽鳥が 「この時が一番危ない」なんて言ってる。無風、快晴でこのスピードで危ないことはなかろう。ホバリングに近い時の問題だろう。
水平飛行になったとたんにオスプレイは後ろ姿になった。ヘリの3倍のスピードが出る。もう追いつかない。それまではどうやら取材へのサービスなのか、取材ヘリの周囲を旋回していたようだ。
約30分後、2機目がホバリングとタクシングを経て飛び上がった。これは一気に高度を上げて訓練海域へ消えた。飛行には絶好の条件とはいえ、案ずるより産むが安しか。
所「1機目より近かったので、音に加えて空気の振動がありました」
羽鳥「普天間のような市街地に近い空港で、振動があると…」
予定では訓練は午前8時から午後6時までで、岩国から瀬戸内海に出て、関門海峡を通って下関北西20キロの試験空域で行なわれる。
それにしても、取材ヘリには記者は乗ってなかったのか。いま最大の関心はどんな飛び方をするのか、本当に危険な飛行機なのかどうかだ。取材で追いかけたヘリのパイロットの感想くらいは聞けただろうに。