原発避難の福島・浪江町「最低5年間は帰らない」生きていねーべや。ダメだあ

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   福島第一原発事故から1年半たった福島県の浪江町。住民2万1000人が避難した「ゴーストタウン」をカメラが映しだすと、シャッターを閉めた店の前を背の高い鮮やかな緑色の雑草が彩っていた。先月(2012年8月)、この町は重大な方針を発表した。「最低5年間は町には帰らない」と決めたのだ。

避難指示解除しても放射能除染やインフラ整備に数年

   浪江町の役場などがある中心部で、人口の4割が住んでいた地域は放射線量が年間20ミリシーベルト以下。こうした地域は自治体の判断で避難指示を解除できることになっているという。指示解除の見通しを立てる必要に迫られた町は調査を重ね、悩んだ末に「5年はかかる」という結論を出した。その理由として町側は、「環境整備するのに5年はかかるだろう」(町長)など、地震で破壊されたインフラの整備や放射能除染に時間を要する点を強調する。

   ただ、「クローズアップ現代」によれば、この決定には「除染、インフラ整備の難しさとともに、国が出した賠償の方針が大きく影響している」(国谷裕子キャスター)という。なんでも、放射線量年間20ミリシーベルト以下の避難地域は、避難指示の解除が2017年3月11日以降の場合、不動産の評価額が全額賠償される。しかし解除の時期が早まれば、それに応じて3分の1まで減額されてしまうというのだ。

町消滅の危機!住民からは「戻ろうという人いなくなる」

   賠償額を重視する人やすでに町に戻るつもりのない人にとっては、避難指示の解除は最低5年後以降でよい。一方で、早く町に戻って復旧復興を目指したい住民からは、「1、2年ならともかく、5年では戻ろうという人がいなくなる」などと異論が噴出したという。とりわけ高齢者には、5年後の賠償額がどうなるかより、住み慣れた町に一日も早く帰ることを希望する人が多く、とくにショックが大きいという。82歳になるという女性からは「帰れるまで生きていねーべや。ダメだあ」と、溜息混じりの言葉が聞かれた。

ボンド柳生

NHKクローズアップ現代(2012年9月11日放送「原発避難解除はいつ 苦悩する町と住民」

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