大震災1年半「何も変わっていない」と遺族。行方不明者2846人

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   東日本大震災から1年半が経過した。「スッキリ!!」は震災直後、通信が途絶えた被災地を訪れ、行方の分からない肉親の安否を気遣った被災者のメッセージを放送した。今回これら被災者を再び訪れ、1年半後の今を伝えた。

中学1年少女「諦めないでやれば大丈夫って、お母さんは言ってた」

   1回目に取り上げたのは、岩手県陸前高田市に住む中学1年になった深尾智絵さん(12)。3人姉妹の末っ子だ。小学校の避難所で生活しながら母親を探していた当時は小学6年生で、番組でこんなメッセージを発信していた。

もう1度助けに行こう
  

   「深尾由香(母)、智絵は元気です。広田小学校にいます」

   かたわらの祖母・美喜子さん(当時75)も「みな小学校にいるから心配しないでね。待っているから」と呼びかけていた。

   しかし、震災からちょうど100日目、母親は遺体で発見された。勤務していた建物の地下に埋まっていたという。それから4か月後にスタッフが再び訪れたときは、母親がやっていた家事全般を祖母が引き受けていた。大工の父親・辰雄さんが「お母さんに全部任せていたから…」というと、姉の麻希さん(当時13)から厳しい声が飛んだ。「お父さんが何やっていたわけじゃない」。これには父親も「反抗期だから…」と苦笑した。

   それから1年4か月が過ぎた今月8日に訪れると、家族全員が家事を協力するようになっていた。そのなかで智絵さんに大きな変化が起きていた。

   4月から中学1年生。髪の毛を切ってきれいに整え、女の子っぽくなっていた。小学校の時からやっていたバスケットボール部に所属し、今大きな目標を持っている。近く行われる新人戦のスタメン5人の中に選ばれ、「1点でも多く点を取る」のを目指しているのだという。練習で苦しくなると、母親がいつも言っていた「諦めないでやれば大丈夫」という言葉を思い出し励みにしている。そしてスタメン発表の日、コーチが智絵さんの名前を呼んだ。「ビックリしたけど、嬉しかった」と、帰宅して仏前に報告した。中山美香レポーターが「お母さん何と言っていた?」と聞く。「『応援するよ、頑張ってね』って聞こえました」

   父親は目を細めて「子どもの成長は感じますね」と言いながら、ボソッと「でも、他は何も変わっていないですね」と言う。

岩手県警、宮城県警が続ける遺体捜索

   中山は「復興のスピードはゆっくり、ゆっくり。ほとんど震災直後から変わっていなかった」と話す。その最大の課題が行方不明者の捜索である。まだ2846人(2012年9月5日現在)もいて、家族が諦めきれないでいる。岩手県警は毎月11日前後に200人体制で、宮城県警も毎週2回30人体制で捜索を続けている。宮城県では今年1月から今月までに、偶然に発見された遺体も含めて21体が見つかっておりやめるわけにはいかない。

   コラムニストの勝谷誠彦「日本全体の問題ですよ。1年半たって忘れがちですけど、他の地域からもっと入って、みんなでもう1度助けに行きたいという気持ちを持ちたいですね」

文   モンブラン| 似顔絵 池田マコト
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