タリバン側も和平受け入れ派と徹底抗戦の強硬派に分裂
しかし、タリバンも一枚岩ではない。シャヒーンは「目指すものは同じなのだから、指導部に従わないなぞありえない」というが、最前線では和平の決定を尊重するグループもあれば、徹底抗戦の強硬派もいる。はたして出口はあるのか。
アフガン問題で和平会議を開催した同志社大の内藤正典・大学院教授は、「タリバンも強硬だけではダメだとわかってきた。障害は捕虜交換だが、これがもとに戻れば協議再開はできる」という。
6月に京都で開かれた会議は、はじめは反政府勢力だけの予定が、タリバンも大統領顧問も加わってきた。内藤教授は1枚の写真を見せた。会議の後、 居酒屋の大テーブルに各派が仲良く並んで写っていた。教授は「交渉再開に障害はない」という。
かつて、ローザンヌで開かれたレバノンの和平会議を思い出した。相争う7派の民兵代表がにこやかに並ぶ姿がニュースになった。だが、その後も内戦、内戦。四半世紀以上経ったいまも、レバノンは完全平和とはいいがたい。アフガニスタンがそうならないように祈ろう。
ヤンヤン
*NHKクローズアップ現代(2012年9月6日放送「タリバンとアメリカ 秘密協議の内幕」)