「歩く肺炎」といわれる「マイコプラズマ肺炎」が大流行の兆しを見せている。昨年(2011年)7月から冬まで猛威を振るい、今年はさらに勢いを増して過去最悪の状況にある。8月下旬で比較すると、昨年の1・5倍のペースだ。
風邪の症状とはここが違う
マイコプラズマ肺炎に感染するとどんな症状が出るのか。昨年9月に感染して9日間入院した福田瑠さん(14歳)は「最初は軽い頭痛、翌日から40度の高熱の中で咳が止まりませんでした。咳で呼吸困難になって、頭がクラクラして歩けない。死ぬんじゃないかと思いました。薬は市販の物は全く効きませんでした」と話す。
風邪と同様に発熱があるが、「鼻水やタンは少なく、風邪のような湿った咳でなく乾いた咳で、しかも止まりません」(札幌徳洲会病院の成田光成医長)。福田さんを診察・治療した日本医科大学の木田厚瑞教授はこう警告する。
「咳が出続けることで菌が他人にうつります。子供が学校など外から持ち込んだ菌が母親に、姉に、お父さんにと家族に広がり、お父さんは会社の同僚や部下にうつす。まさに歩く肺炎です」
今年3月に夫婦と子供2人の家族が全員襲われ、所属する会社にも蔓延させてしまったプロレスラーの蝶野正洋さんは、「最初は家のエアコンを疑いました。次に会社の人間が次々と咳込んで止まらなくなりました」と話す。成田医長は「売薬では効きません。早めに病院でマクロライドという抗生物質の特効薬を処方すれば48時間で効きめが現れます」と解説する。