事件が起こったのはおととい4日(2012年9月)の夜の広島市内だ。タクシーのトランクに入れたバッグから「助けて」とうめき声が聞こえてきて、運転手が逃げようとした若い男を捕まえた。バッグから小学6年生の女の子(12)が救出された。男は小玉智裕(20)。成城大学社会イノベーション学部の2年生だった。これが大学生のやることか。
果物ナイフや粘着テープも準備「乱暴しようと思った」
女児は塾の帰りだった。友だちと別れて母親の迎えを待って1人でバス停付近にいたところを、男に連れ去られた。果物ナイフで脅して人通りのないビルの入り口に連れ込み、手を粘着テープで縛ったあと、「正座してバッグに入れ」と脅した。そこから50メートルほど歩いたところでタクシーに「広島駅前」 といって乗ったが、バッグをトランクに入れたとき、手伝った運転手は「この重さでこの柔らかさ温かさは何だろう。死体じゃないかと思った」という。
走り出した後、トランクから「助けて」「助けて」という声がしたので、運転手は男に「何が入ってるんだ」と聞いたが、男は答えない。タクシーは交番へ向かって走り、信号待ちで止まった時にまた「助けて」と声がした。男は逃げ出したが、運転手が取り押さえ、通りがかった人に110番を頼んだという。
小玉は本来3年だが留年していた。大学側は「最近は大学に来ていない。理由はわからない」と話す。体育会の居合同好会に所属していたが、目立たない存在だったらしい。広島には親戚が住んでいて多少の土地勘があり、運転免許証をとるために先月下旬から広島に来ていた。女児とは面識はなく、「乱暴しようと思った」と供述しているという。ただ、バッグの他に果物ナイフ、粘着テープを持っており、 計画的とも見られる。