塾帰りの女児(12)が旅行バッグに押し込められ連れ去られた広島の事件は、タクシー運転手の機転で無事保護されたが、その緊迫した一部始終をタクシー運転手が語った。
「あの大きさであの重さ、あの柔らかさと温もり」何かおかしい…
あっぱれなドライバーは、個人タクシー歴18年というベテランの星山寿幸さん (63)だ。西広島駅近くで客待ちしていたところへ、監禁容疑で逮捕された小玉智裕容疑者(20)が乗り込んできた。星山さんによると、「大きな荷物を下げて、下に手を入れて重そうに歩いてきたんです。(トランクに入れるのを)手伝おうと手を差し伸べたら、背を向けるようにして避けたような感じだった」と話す。気になった星山さんは、確かめるように「トランクの扉を閉める前にちょっとバッグを触ったら、温かいし柔らかいし、何だろうと思いながら閉めた」という。
この後、11分間の緊迫したドライブが始まる。「道中、あの大きさであの重さ、あの柔らかさは何が該当するだろうと気になって走っていました。すると、後ろで音がするので振り返ると、男は座っているので男が出した音ではなさそう。そう思ったらまた音がした。で、『お兄さん、後ろにイヌでも積んでいのかい?』と聞いても黙ったままでした」
「はっきりした声で『出して、出して』って聞こえてきたんです」
不審に思った星山さんは、近くの交番に通報しようと向かう。「信号待ちしていると、今度ははっきりした声で『出して、出して』という声が聞こえてきたんです。やっぱり人の声だと思い、振り返って『お前、人を詰め込んでいるんか』といったら、男は『ここで降ります』と言ってドアを自分で開けて出て行った。
夢中で追いかけて男を捕まえ、車に座らせながら通行人に110番通報を依頼。さらにこの通行人にカギを渡してトランクを開けてもらったら、女の子がバッグから上半身出して立ったのが見えました」
女の子の無事な姿を見て星山さんはホッとしたと笑う。
小玉は成城大の社会イノベーション学部2年生。単位が取れず留年していた。以前、広島に住んだことがあり、運転免許を取るために広島にきていたという。
キャスターのテリー伊藤「あの人がいなかったらどうなっていたか分からなかった。ナイス判断だったね」
内科医のおおたわ史絵は小玉について、「平和ボケにも程があるというか、大学まで行かせてもらい、何が不満なのか。まともな人間からすれば理解しがたい。それが今の若者の心理と言えばそうなのかもしれないけど…」と困惑していた。