2学期早々、広島と名古屋で小学生の女の子がとんだ災難にあった。ともに若い男による誘拐・監禁事件で、無事保護されたものの惨事につながる恐れがあった。親が注意を払っても、なかなか目の届きにくい日常の死角を狙われた犯罪だった。
かばん押し込みの広島市「午後6時以降の親の同行・外出許可」決めてたが…
広島市では塾帰りの6年生(12)が旅行かばんに閉じ込められ連れ去られた。かばんを入れた車のトランクからうめき声が聞こえるのに気づいたタクシー運転手が機転を働かせ、東京都世田谷区の成城大学3年・小玉智裕容疑者(20)が監禁容疑で現行犯逮捕された。
小学生が襲われたのは9月4日(2012年)の午後9時ごろで、バス停で迎えにくる母親を待っているところだった。友達や他の乗客もいなくなり、たまたま1人になった一瞬だった。小玉は果物ナイフのようなもので脅し、人通りのない路地に連れ込んでかばんの中に押し込んだ。動機について「監禁する途中からわいせつ目的に変わった」などと供述している。
司会の笠井信輔「バス停で待っていても連れされてしまうんですね。親にとっては、どこも安全でないという印象を持ちますよね」
「日経ウーマン」発行人の麓幸子は「親がどんなに見張っていても限度がある。子どもが自分で身を守る手立てが必要かなと強く感じますね」
リポーターの田中良幸が広島の事情について説明する。「広島市では2005年に下校途中の7歳の女の子が殺害・遺棄された事件があり、市の教育委員会は不審者対策を強化し、被害者の小学生が通っている学校では、午後6時以降に学区外へ出掛ける時は親の同行、または許可が必要としていました」
注意払っていても目が届かない「日常の死角」
名古屋市では9月3日、小学1年生(7)が学校に行くために家を出た直後に、同じマンションに住む職業不詳の男に部屋に連れ込まれた。男は水島誠容疑者(23)で監禁容疑で逮捕された。部屋には父親の遺体があり、水島は「女の子を連れ込んだことがバレるのが嫌だった」「ぼくはロリコンです」などと供述している。
田中が現場から報告する。「水島容疑者の部屋は2階です。階段を使えば人目につくことなく自分の部屋に連れ込むことができます。オートロックだから安全と思われますが、逆に人目につかない死角となりました」
笠井「この事件も、犯行現場がまさかのマンションの中という隙を突かれた」
ふたつの事件の共通するのは、現場が人目につかない場所ということだろう。こうした場所で不審者に遭遇したらどうしたらいいか。専門家は(1)大声や大きな音を出す。防犯ブザーは効果的(2)助けを求める対象者を明確にすること。ただ「助けてではなく」「○○さん、助けて下さい」と呼び掛ける、この2点が有効だという。
田中はアメリカの防犯対策も紹介した。イリノイ州では「14歳未満の子どもが一人になる環境をつくってはならない」と法律で定められており、違反すると親が逮捕されるという。
笠井「法律ですべてを規制する社会は生きづらい社会になりますが、人を見たら悪人と思えというところから教えなければならないということでしょうか。一方で、人と人の絆の大切も教えなければいけない」