北海道、東北でクマの目撃が例年になく多い。札幌では今年(2012年)4月から9月4日までに昨年度の2・6倍、東北6県では3・3倍にもなっている。原因としては、クマをめぐってある異変が起きているのだという。
ハンター減少で銃で撃たれたり追われた経験なし
北海道札幌市では8月27日から8日間でヒグマの目撃報告が30件もあった。2日夜にNNNカメラマンが市内を流れる真駒内川を渡ろうとしているクマを撮影した。クマはカメラに気づいて振り向いたが、逃げるそぶりも見せず、平然と渡って行った。
岩手県盛岡市郊外の農家はクマから農作物を守るための電気柵を設けたが、2、3年前は怖がって近寄らなかったのに、今年は電気柵の下をくぐって畑に入っていく。
クマの生態に詳しい岩手大農学部の青井俊樹教授は、「ひとつの理由では説明がつかない状況が中山間地で起きているようです。人間に追われたことがないような、人間の怖さを全く知らないようなクマが増えていることが現状としてあります」と説明する。人里に近づくと銃で追われ、人間は怖い存在としてクマに認識されていたのに、それが崩れつつあるというのだ。青井教授は「ハンターが高齢化で減少し、銃で撃たれる経験のない新世代ベアが出現している」と見ている。また、東北では原発の放射能汚染を恐れて獲物を引き取ってもらえず、山に入るハンターが減っているという。
文
モンブラン| 似顔絵 池田マコト