通称「丹羽大使襲撃事件」――。駐中大使の公用車が通行を妨害され、止まるとクルマの先に付いていた旗を奪われたという出来事だ。最初に「襲撃」の文字を見て驚き、その内容を読んで知って以来、大使やクルマの「襲撃」という表現と起きた出来事とがマッチしているのかという点は、ずっと気になっていることではある。犯人の意図も定かではない。
持ち去った「日本国国旗」連中はどうしたのか
間違いなく襲撃され、憂き目にあったのは旗(日本の国旗)だ。日本国の象徴であるところの旗はどこへ行ったのか。日の丸の安否が気掛かりだが、「朝ズバッ!」では誰も歯牙にもかけない。
ところでこの度、この事件の容疑者に対して、5日間拘留される等の行政処分が下されたそうだ。これが「大甘処分」(番組キャプションより)だというので、コメンテイター陣からはこの処分に批判的なコメントが相次いだ。「ネットだけじゃない マスコミも大激怒!」とかの見出しが付けられそうだ。
この手のコメントは大抵似たり寄ったりになりがちだが、なかでももっとも典型的な「わかりやすい」語り口だったのは、資産運用コンサルタントの逢坂ユリ。「これは一種のテロだ。中国の5億人と言われるネットユーザーが(襲撃を)英雄視していて、政府はそれをおそれ、抑えようとしている(ので甘い処分になった)と言われているが、それにしても国民も政府も民度を疑う」
「逆だったら、どうなりますか」。司会のみのもんたが若狭勝弁護士に聞いていた。民度の高い日本でもしも中国の大使が「襲撃」されたら、こんな大甘処分で済むはずがない――という(この番組で何度も既出の)コメントの誘い水である。
「刑事事件として、逮捕勾留されることは間違いない」(若狭)とのことだが、はたしてそれを日本のマスコミは「駐日中国大使襲撃事件」と呼ぶのだろうか。