「すごく楽しかった」「開いてみたら、全然知らないジャンルというのも面白いかな」―― みんな楽しそうだ。新宿・紀伊国屋がもうけた変わったコーナーが大ウケだという。
「ほんのまくらフェア」というのだが、ネットやツイッターでは「本の闇鍋」と呼ばれている。どういうことかというと、本の書き出しの1行を抜き出して、それを大きく刷り出したカバーですっぽり覆っているのだ。タイトルも作者も隠したまま。小説なのか専門書なのか何だかわからない。書き出しだけで買う気になるかどうか。
新宿・紀伊国屋では売り切れ続出
大成功だった。販売目標は750冊だったが、累計で1万2000册を売った。コーナーには「現在品切れ 補充中」の張り紙が目立つ。そこでも出ているのは書き出しの文章だけだ。発案した紀伊国屋書店の伊藤稔さんは、「2、3年前から考えていました。作家の大切な文章を直感で選ぶというので、お客様と作家の距離が近くなるんじゃないかと思ったんです」という。
全国の書店は減る一方で、この5月(2012年)までの1年間に365店舗が消え いま1万4696店だという。生き残りをかけてさまざまなアイデアを競っていて、千葉では店内に生鮮野菜のコーナーを置いた店まであった。脇にはレシピ本、近くに子どもの本があって、子ども連れのお母さんも…というわけだ。
司会の羽鳥慎一「たまちゃんも本が好きだから…」
赤江珠緒キャスター「闇鍋ってのが面白いですね」
スタジオに何冊かが並んだ。「なんてくせえやつらだ。」「しぇけなべいべな、しぇけなべいべ」「わたしは他人の夫と寝るのが好きだ。」「トンプソンが殺すべき男はおかまだった。」…といった具合である。
「あした世界が終わる日に一緒に過ごす人がいない」これだけで月614冊販売
羽鳥「編集者としてどうなんですか」と舘野晴彦(月刊「ゲーテ」編集長)に聞く。「本が残念ながら売れないから、 ありとあらゆる努力をする。眠っている素晴らしい作品はたくさんある。ぜひ読んでほしい」
小松靖アナが1冊を見せた。「あした世界が終わる日に一緒に過ごす人がいない」
羽鳥「あー、切ない」(笑い)
小松が「月に1、2册しか売れてなかったのに、先月だけで614冊も売れました。ちょっと開けてみてください」と赤江に渡す。開けて初めてタイトルが見える。「あーっ、意外でした」と赤江。「思っていたものとは違いましたね」
のぞき込んだ羽鳥「プレゼントにいいんじゃないですかね。自分だとウーとなるが、もらうとアーと」
スピードスケート金メダリストの清水宏保も「なるほど」といいながら、「イメージと違ってちくしょうなんて人もいるかな」と笑う。
宮田佳代子アナ「自分で選ぶと偏るが、こういうのはいい」
羽鳥「ビニールで包まれていると破りたくなる。池があったらお金を投げるとか」
紀伊国屋では好評につき9月16日(2012年)まで延長するという。このあと書店から「書名などは絶対に公開しないように」とひとことあったらしい。スタジオが盛り上がり過ぎて、余分なイメージを与えたか?