福島第1原発事故による放射性物質に汚染された指定廃棄物をどこに捨てるか。環境省は3日(2012年9月)、最終処分をする栃木県矢板市の候補地について初めて提示した。国は放射性セシウムの濃度が1キロあたり8000ベクレル超の焼却灰や汚泥を指定廃棄物としている。その量は、福島、岩手、宮城、新潟、群馬、栃木、茨城、千葉、東京都の1都8県で4万2600トンに及ぶ。
この指定廃棄物については、原発事故後に制定された法律で、各都県の国有地に最終処分場を設け、国の責任で処分すると定めているが、これまで処分場は1か所も決まっていなかった。
地元抜きで政府・環境省が勝手に選定
栃木県庁を訪れた横光環境副大臣は、福田知事に矢板市塩田の国有林を最終処分場の候補地として初めて提示した。これに対し福田知事は、「地元の理解が不可欠。候補地選定にいたった合理的な理由などを丁寧に説明してほしい」と答えたが、地元・矢板市の遠藤市長は強く反発、拒否の構えを示した。
東大のロバート・キャンベル教授は政府のまずさについてこう話す。「環境省の中でそれなりの調査をし、どこが一番適切かの決定の過程があったと思う。しかし、地元にはその過程が全く見えない。最初の段階から地元の人たち、行政の人たちを取り込んで最初の段階から透明にやっていかないと理解はえられませんよ。一方的に『ここですよ』ではダメなことはわかっていたはず」
キャスターのテリー伊藤「(矢板市の)候補地には75の家があるようですが、その家族にどう説明するのか。風評被害が今後どんどん出てくる。大きな問題になりますよ」
環境省は9月末までに他の都県の最終処分場候補地を選定するとしているが、一方的な通告でことがうまく運ぶとは到底考えられない。