早めのインスリン注射や胃バイパス手術ですい臓機能回復
最後の手段とされてきたインスリンの投与も見直されている。熊本大病院に入院した男性は、すい臓機能の低下で血糖値が正常の3倍もあった。ここではいきなりインスリンの投与を行なった。これで一時的に血糖値が下がると、負担の減ったすい臓がインスリンを出す能力が高める。男性は2週間後、300あっ た血糖値が139まで下がった。すい臓が再び血糖の管理を始め、注射の必要はなくなった。最後の手段だとすい臓が弱り切っていて、効果は少なという。
アメリカでは糖尿病治療に外科手術が登場していた。ニューヨークに住む58歳の女性は食事制限も薬も効果がなかったのが、昨年受けた手術のあと血糖値が正常になり、「どんどん健康になっている」と話す。「胃バイパス」といって、胃や小腸の一部を切り取る手術だ。もとは重度肥満者の食事の吸収を抑える減量が目的だったが、小腸の特殊な細胞が出すホルモンがすい臓のインスリン量に作用するとわかったのだという。
手術患者の8割が正常血糖値になり、医師は「5年以内に普通の手術になる」と話している。 これには清野医師も「私も驚いた。ただ、日本人はアメリカ人のような極端な肥満は少ないですから、検証が必要でしょうね」という。
糖尿病患者は予備軍を含めると2200万人というから驚く。友人にもいるが、気の毒に食事制限あって一緒に外食ができない。レストランのメニューに「糖質制限食」が乗ったらどんなにいいか。レシピが病院を出てくる日が来ることを祈ろう。
ヤンヤン
*NHKクローズアップ現代(2012年8月30日放送「糖尿病の『常識』が変わる」)