参院はきのう29日(2012年8月)、野党7党が提出した野田首相への問責決議案を賛成多数で可決した。問責決議案は民自公3党合意による消費増税を批判しており、賛成した自民党は自らを否定するという変なことになった。公明 党はここでは欠席している。
自公が提出した問責は首相批判に絞ってあったが、どちらを採決するかで野党は長々と協議をしたのだが、自公は結局数で押し切られた。そのため採決は予定より7時間遅れの午後5時になった。
「近いうちに」が「近い将来」に先延ばし
問責が通ったことは野田にはたしかに痛手だが、それ以上にダメージを受けたのは、自民党の谷垣総裁だ。この問責に賛成したのでは全く辻褄が合わないが、問責を通さなければ党内がおさまらないというジレンマ。谷垣総裁は「3党合意を推し進めるために民意を問うべきだ」と支離滅裂だ。これに民主党の輿石幹事長が「台風じゃあるまいし、問責が2つも上陸した」と、珍しく嬉しそうに切り込んだ。「3党合意を否定した問責に自民党が賛成する意味がわからない。こんな不思議な問責はない」
しかも、問責には法的拘束力はなく、野田は解散の意志なしだから、解散の時期は「近いうち」どころか、「近い将来」(樽床幹事長代行)になった。これまた自民党内は収まらない。総裁選は安倍晋三元首相が名乗りをあげるなど波乱含み。安倍はまた大阪維新の会との連携にも動いているから、ますますややこしい。ともあれ、これで国会は会期を10日残して開店休業になった。
松尾貴史(タレント)「谷垣さんが『小異を捨てて大同につく』といったが、あれはこういう時にいう言葉じゃない。民主主義は多数決の前にやることがある」
テレビ朝日政治部の山崎陽弘記者は「3党合意の行方も、自民党の総裁選の結果次第」という。玉川徹(テレビ朝日ディレクター)は「自民党を見てると、日本をどうするかが見えない。増税はしたい、原子力規制は骨抜きにしたい。だから民主と協力しただけ。維新の会にしても、結局は自民党の補完勢力になっちゃうのかなぁと思う」と話す。
秋の臨時国会開かず「死んだふり」
では、解散の時期はどうなるのか。野田は特例公債法案と衆院選挙制度改革法案の2つを通してからと考えている。党内はできるだけ先にしたいという思惑がある。山崎は「野党は次の国会で内閣不信任を出そうとしている。だったら臨時国会を開かなければいいというのもある。そうなると1月の通常国会、これは開かないといけないから、そこになるのか」という。
レポーターの所太郎「まさに近い将来」
司会の羽鳥慎一「近いうちが来年になってしまう」
ただ、特例公債法案が成立しないと11月から予算不足に陥る。こんな連中に任せておいていいのかといいたくなる。といって、それに代わるべき人もいないか。