盛り上がったロンドン五輪のメダリストたちや激しい戦いの末、惜しくも敗れた甲子園球児たちが残した悲喜交々の言葉など、この夏に心にのこった言葉、名言を番組が取り上げた。その中で印象が強かったのは、俳優・高倉健(81)が富山刑務所の受刑者を前に語った言葉だった。
「1日も早く、あなたにとって大切な人のところへ帰ってあげて下さい」
高倉は公開中の映画「あなたへ」で主役を演じている。刑務所で指導技官を務める主人公が、亡き妻の故郷へ旅をしながら夫婦の絆を再確認をする物語である。ロケ地となった富山刑務所で完成披露試写会が開かれ、高倉が350人の受刑者を前にこんな挨拶をした。
「はじめまして、俳優の高倉です。こういうところで喋る経験がないものですから、きのうホテルで眠れなくて、原稿を作ったんですけど…。これから見ていただく映画『あなたへ』は、人を思うということの大切さ、そして思うということは切なさにも繋がるんだと思います。
自分は多分、日本の俳優では一番多く皆さんのようなユニフォームを着る役をやった俳優だと思っています」
そして最後に、「皆さん、1日も早く、あなたにとって大切な人のところへ帰ってあげて下さい。心から祈っています。どうぞお元気で」と語り、涙をぬぐった。
司会の加藤浩次「健さんの話はグッとくるね」
キャスターのテリー伊藤「受刑者の皆さんは、あの後、泣いて立てなかったと聞きます。健さんって人前でああいう演説をする人じゃないんで、重いですね」
受刑者にとっては心に染みた話だろう。
文
モンブラン| 似顔絵 池田マコト