きのう27日(2012年8月)午後、北京市内を走っていた丹羽宇一郎・駐中国大使の公用車が2台の車に停止させられ、車から降りてきた男が興奮して叫びながら公用車の日の丸を奪って逃走した。大使にけがはなかった。
大使館はただちに中国外務省に抗議し、再発防止を求めた。襲った男は中国人と思われ、 大使に同行していた大使館員が男や2台の車のナンバーを撮影していた。大使館はこれを北京市公安局に提出し捜査を要請した。
地方ナンバーのドイツ車
丹羽大使は大使館に戻る途中で、公用車には日の丸が掲げられていた。大使館によると、2台の車はしばらく大使の車をつけたあと、追い抜いて前方をふさいだ。大使の車はいったんは逃げたが、さらに追跡された。車はドイツ製で地方のナンバーだったという。
香港活動家の尖閣諸島への上陸以来、中国各地で反日デモがおこなわれており、日本レストランのガラスが割られたり、日本製の車が壊されたりしている。これらのデモは、ひとつ間違えると反政府デモになりかねないため、中国政府も抑え込みをはかってはいる。この事件でも、中国外務省は「きわめて遺憾。再発防止と在留日本人・企業の安定を確保し、事件も厳正に対処したい」と答えた。
司会の羽鳥慎一「大使の車が襲われるなんてあるんですね」
舘野晴彦(月刊「ゲーテ」編集長)「大変なことですよ。各地でいろいろ起こっているが、北京は比較的安全だった。ナンバーなどから、いずれわかると思うが、どういう人たちだったのか」
中国ネットにも「こんなことはよくない」「チンピラ同然の行為だ」
北京の青木俊憲記者によると、ネットでは「丹羽大使は親中派で日中関係改善に努めてきた人。こんなことはよくない」「チンピラ同然の行為だ」と批判がある一方で、「よくやった」というものもあるという。また、日曜日に取材した海南省のデモの印象は、反日というより普段の生活への不満を発散していたという。中国政府も対日関係悪化を懸念して困惑しているという。
羽鳥「旅行とか仕事に問題はないでしょうか」
青木「少なくとも北京では身の危険を感じることはありません」
さあ、男たちの捜査がどう進むかが見ものだ。江蘇省で朝日新聞上海支局長が、デモを取材中に制服警官になぐられた事件は、公安当局が「証拠はない」と捜査打ち切りをいってきたそうだ。奪われたカメラも「見つかっていない」という。これじゃぁ、警察が強盗を働いてるようなものではないか。困った国だ。