香港の活動家らが8月15日(2012年)に尖閣諸島に不法上陸した際の状況を撮影した海上保安庁のビデオ映像が、きのう27日に公開された。今後の領海警備などに支障のない範囲で7時間の映像を30分に編集したものだが、そこから何が読み取れるのか。
映像を見た東海大学海洋学部の山田吉彦教授は、「巡視船が抗議船に横づけし乗り込んで鎮圧・逮捕することもできたが、けがをしないさせないという方針に基づいてあえて乗り込まなかった。穏便にことを済ます行動パターンだ。公務執行妨害はなかったという前提でこの映像は作られている」と感想を述べた。
公務執行妨害歴然!立件しても立証なかなか難しい?
スタジオには2010年の中国漁船衝突事件のビデオを「sengoku38」の名前で公開した元海上保安官の一色正春氏が出演した。一色も「今回のビデオ公開の目的は公務執行妨害があったかどうかが焦点だった。映像は遠くから撮影したソフトなものを選び、なるべくソフト印象を与えようとしている」と話す。
司会の笠井信輔が聞く。「どう考えても、素人目には公務執行妨害だろうなと思いますが。警邏中のパトカーに石を投げても公務執行妨害ですからねえ」
一色「まあ、そうなんですけど、公務執行妨害というのは意外に難しくて、あんなぐらいでは妨害にならないと判断すれば立件していくのは難しい」
笠井「あの映像からは徹底的に阻止しようという迫力が感じられないのですが。相手側の船に乗り込んで逮捕するという強い姿勢はどうですか」
一色「今回の場合、いちばんよかったと思うのは領海に入る直前に追い返すことでした。そうすれば、逮捕することもなかった。海上保安庁としては能力的には可能なんですけど、とりあえず上陸させてやれという話があったんだと思います。聞いた話ですけど、彼らの目的を達成させてやれば、おとなしく捕まるだろうと。ただ、目の前の犯罪行為をみすみす見逃したということです」
笠井「さらにまた中国から漁船が来たら、海上保安庁がどのように守っていくか大変難しいと思うのですが」
一色「海上保安庁というより、政府の腹積もりひとつですね。海上保安庁としては、今回の件ぐらいは十分阻止できる能力はあるんです。その力を行使させてもらえるかどうかにかかっています」
海上保安庁の現場の職員だったに過ぎない一色に、公務執行妨害の解釈までしゃべらせることに説得力はあるのだろうか。ご本人も勘違いしてないか。
尖閣諸島への上陸については、きのう政府は東京都が求めていた上陸を許可しないと都側に伝えた。石原慎太郎都知事は「到底理解できない」と反発している。