最高裁が有罪にした永井荷風の傑作春本「四畳半襖の下張り」わいせつは素敵だ!
このところ軟らかい記事に見るべきものがないが、それならばと新潮が出してきたのが、永井荷風作といわれる春本の傑作「四畳半襖の下張り」。これを1972年に作家・野坂昭如が自ら編集長を務める『面白半分』に掲載し、「わいせつ文書販売 」にあたるとして起訴されてしまった。錚々たる文人たちが特別弁護人に名を連ねて弁護したが、最高裁が上告棄却して刑が確定した曰く付きの一文である。
永井の作といわれるだけあって格調高く、声に出して読みたいぐらいである。ちょっと紹介してみよう。
「今まで幾年となく諸所方々遊び歩きしが、これほどの容色(きりょう)にて、これ程の床上手にはまだ一度も出会ったことはなし。今夜はどうした巡り合わせかと思えば、しみじみ嬉しくなり、おのれも女の内股へ顔さし入れ、先づ舌の先にて上の方の急所を嘗め、折々舌をまるめて奥深く入れては又上の方をなめてやるに、女は忽ちうつつによがり始め、口の中なる男の一物唇にて根元を堅くしめてはこきながら、舌の先にて鈴口を弄ぶ」
寝苦しい夏の夜に、酒など啜りながら読みたい名文である。