シリアのアレッポで政府軍民兵に殺害された山本美香さん(45)の遺体は23日(2012年8月)、トルコのイスタンブールに移され、日本から駆けつけた遺族と対面した。立ち会った通信社「ジャパンプレス」代表の佐藤和孝さんは、「(家族は)キレイなお姉ちゃんの顔だといってました。苦しまなくて逝ったのかなとホッとしたような印象でした」という。
正体不明の男が指さし「日本人だ!」その直後に銃撃
山本さん殺害に関してはさまざまな情報が流れていた。中東のテレビ局「アルジャジーラ」は、 山本さん殺害に関与したシリア軍の元将校を自由シリア軍の部隊が拘束し、その証言から、殺害はアレッポの政治治安局の高官の命令だったと伝えた。
たしかに、現場で佐藤さんが撮った映像には、通りを歩いてくる民兵の一団の少し先を男が歩いていて、山本さんらを指差して民兵に「ヤバーニ(日本人だ)」と叫ぶ姿が写っていた。その直後に発砲が始まった。
ジャーナリストの綿井健陽さんは「シリアでは外国人記者やカメラマンが多数殺害されています。メディアを脅して追い出す作戦なのです」という。先週までアレッポにいた後藤健二さんも「ジャーナリストが来るという情報があって、町中に隠れているスパイが情報を流している」という。後藤さんは紛争地域で長年取材してきた。佐藤さんも「内通者は双方にいると思います」と狙われた可能性を否定しなかった。
偶然撮られていた映像「彼女が目を撃たれた」「やつらは卑怯だ」
驚いたことに、山本さんのカメラには、銃撃で画像が止まったあとさらに24分間の映像が残っていた。反政府軍兵士かだれかがカメラを持ち歩いて撮影ボタンを押してしまったらしい。会話も録音されていた。
男A「彼女が目を撃たれた」
男B「日本人なのか? 彼女の腕も見たか? かわいそうに、すごい傷を負ってる」
男A「見たよ、見たよ」
男B「やつら(民兵)は卑怯だ。こういう罠は初めてか? 民兵がお前たちの仲間にまぎれていたように見えたが」
男A「仲間のことは全員知っている。そんなことはない」
声の入った部分の映像は焦点が合っていない。スイッチが入っているとは思わずしゃべっていたらしい。
司会の羽鳥慎一「狙われていたかもしれない」
小松靖アナ「外国人ジャーナリスト殺害命令が出ていたともいわれています」
シリアは一段と危険な状況にあるということ。そこに突っ込んでまで報道する必要があるのだろうか。多分ないと思う。シリアは遠からず崩壊する。