尖閣・魚釣島に不法上陸して逮捕され、国外退去処分となった中国の活動家の船がきのう22日(2012年8月)香港に戻った。7人はさっそく英雄扱いで、花束と中国国旗で気勢を上げた。中にひとり、特徴のある白ヒゲの男がいた。活動家の古思尭(66)で、那覇港に連行されたとき、「打倒!日本帝国主義 尖閣は中国のものだ」などと叫んでいた。「モーニングバード!」が彼を電話取材した。過去の行動と矛盾する点がいろいろあったからだ。
モニバド電話取材に「民主運動、社会運動の活動家で内装工」
2003年の香港返還6周年の反政府デモで、中国の国旗を燃やす輪の中に古思尭はいた。また、今年6月のデモでも中国国旗を燃やしていた。08年の北京五輪の聖火を消化器で消そうとして取り押さえられたこともある。すでにネットには、「国旗を焼いた男が釣魚島に旗を立てるのか。本当の英雄か?」「こいつはプロの活動家だ。金をもらって何でも反対する」などの非難が出ていた。
電話に彼は「民主運動、社会運動の活動家だ」「内装工もやっている」「(国旗を燃やしたのは)香港警察の前でわざとやった。愛国とは共産党を擁護することとは違う。中国の人を愛している」「国旗を燃やしたことと、釣魚島に国旗を立てたこととは矛盾しない。領土問題の責任は中国政府にもある」などと話している。今回の騒動でこの団体には多くの献金が集まったといわれ、10月にも再度尖閣を目指すとしている。
司会の羽鳥慎一「中国を代表してるわけではないということですよね」
中国問題に詳しい富坂聡氏は「香港人の行動は中国から見ると常にクエスチョンマークがつく」という。これら活動家は、香港での人気とりのために尖閣にも中央政府にも牙をむくという。
赤江珠緒キャスター「中国政府とはどうなんでしょう」
富坂「関係ないですね。見ればわかる。後ろで金を出す人もいる。日本の新聞は政府と関係があるように書いてしまう。まともな相手でもないのに、今回、日本は連中をオーソライズしてしまった」
富坂は「中国は尖閣には戦略をもっています。もっと恐ろしい。すでに自国の漁船を監視するという理屈で、漁業監視船を出してきていますが、次は日本の取り締まりを妨害するだろう」と不気味な予想をする。
上陸合戦エスカレートで領土問題になると中国政府は戦争辞さず
玉川徹(テレビ朝日ディレクター)が「そもそも総研」コーナーでも尖閣問題を取りあげた。テーマは「日中戦争はあるのか」だったが、玉川が聞いた2人の専門家、田岡俊次(軍事ジャーナリスト)と孫崎享(元外務省国際情報局長)はともに「中国は戦争をする」と見ていた。
話を総合すると、中国は建国以来、8回も戦争をしている。国益を侵害された(とくに領土)場合は行動する可能性が高い。つまり、いまのような状態が続くと必ず対峙せざるを得なくなるという。そのときアメリカは中立の立場をとる。いま日本にとって有効な選択としては、実行支配の強みを生かして「棚上げ」を続けることというのも一致していた。日本の強硬論者が「なるだろう」「ならないだろう」という楽観の上に立っている危うさも指摘していた。
「戦争になると思いますか?」という問いは、確かに一考に値する。