「記録して外の世界に出さなければならない。だから私は戦場に向かう」
山本さんの実家では、父親が佐藤さんからの電話連絡を受け、「死因は?言ってよ」。しばらく俯いたまま電話に聞き入っていた父親から出た言葉は、「首を撃たれた」。父親は涙を流しながら、「わかった。認めざるを得ない。早く会わせてくれよ。早く会わせてください。佐藤さん頼むよ」
山本をよく知るジャーナリストの常岡浩介氏は、山本さんのことをこう語った。「ほとんど唯一最前線まで行く女性記者でありながら、本当に危ないところまで踏み込んで行く。『戦闘を取材したいのではない。戦争を取材したいのだ』とよく言っていた」
最後に、山本さんが書いた本(『中継されなかったバクダッド』)から次の一文を紹介する。「私たちジャーナリストは死ぬために戦場を目指してはいない。誰かがそこへ行って目撃しなければならないし証拠を残していかなければならない。記録して外の世界に出さなければならない。だから私は戦場に向かう」
文
モンブラン