まあ、だれが数えたのか、50万人だという。かつてこんなに人が銀座に集まったことがあっただろうか。「わー、こんなに人が」(福原愛)と選手たちが驚いていた。「一瞬、アイドルになったような」(内村航平)。吉田沙保里、北島康介、沢穂稀…みんないい笑顔だった。
ロンドンオリンピックのメダリスト71人の銀座パレードは、きのう20日(2012年8月)午前11時から始まった。1丁目から8丁目まで、時間にするとわずか20分間だが、気温が30度を超える中、都心はさらにヒートアップした。
自販機上って叱られる若者、子ども肩車で見えない母親、熱中症…もう大混乱
子どもを肩車して、「私は見えないんですよ」というお母さん。自動販売機に上って叱られる若者。遠くからきたのに「近寄れない」「見えない」という女性。「見た」と選手の名前をあげて喜ぶ子ども。ついには熱中症で倒れる人もいた。
司会の羽鳥慎一「自動販売機に上る気持ちはわかりますね」
宮田佳代子レポーター「平日でこれだから、土日だったらもとよかったんだろうけど、そしたらもっと大変」
赤江珠緒キャスター「選手もびっくりしてましたね」
スピードスケート金メダリストの清水宏保は「選手もJOCもここまで集まるとは思ってなかったでしょう。選手はテレビなんかには出ても、一般の人と直接会うことは少ないですから、これを見て4年間の苦労が吹っ飛んだと思う」と話す。
羽鳥「メダルをとるモチベーションにもなりますね」
清水「取るとこうなるというね。メダルを取れなかった人にも次のモチベーションになる」
ここで、清水が1998年の長野五輪で金メダルを取ったときのパレードの映像が流れて大笑い。出身地の帯広でのもので、「アイドルの気分になりますよ」
スポールライター納得のひと言「パラリンピックが終わってから一緒にやるべきだ」
パレードの最後の車には、2020年のオリンピック東京招致ののぼりや横断幕が飾られていた。東京とスペイン・マドリード、トルコ・イスタンブールが名乗りをあげている。客観条件は東京が圧倒的に有利だが、唯一劣っているのが国民の支持。他の都市が70%台なのに対して、東京は47%だ。この日の50万人がはね返すテコになるのかどうか。
東京は前回の大風呂敷の招致失敗から「エコでコンパクトな大会」に変わった。主会場も新設ではなく国利競技場の改装、都心の国際会議場なども室内競技に使う、射撃会場は自衛隊朝霞駐屯地、皇居をめぐる道路は自転車競技など既存施設の活用が4割だ。晴海に作る選手村から半径8キロ以内で28競技がこなせる。
スポールライターの玉木正之氏は招致見通しについて、「何のために開くのかがはっきりしない。シンポなんかやっても、賛成の人だけでやってる」という。経済・雇用への効果やらスポーツ振興やら理屈はいろいろだが、玉木が言ったひとことがちょっと重かった。「きのうのパレードだってパラリンピックが終わってから一緒にやるべきだ」
オリンピックは文部科学省の所轄。パラリンピックは厚生労働省だ。もし一緒にやったらきのうの熱狂はどうなっただろう。あらためて国民の方が問われる。