鹿児島県出水市の中学2年の女子生徒(当時13)が昨年(2011年)9月、九州新幹線に飛び込み自殺した。遺族はいじめとの関連を調べてほしいと今月(2012年9月)10日、恐喝未遂と器物破損の容疑で鹿児島県警出水署に被害届を提出した。学校側は「自殺に結びつくいじめはなかった」としているが、背景には女子生徒特有のいじめの事情もあるようだ。
学校・教委「いじめと自殺関連なし」とアンケート開示拒否
自宅に置かれた遺影写真は中学の制服と小学校6年生の時の笑顔の写真を合成したものだ。中学に入学してからは笑った写真がないからだという。自殺したのは2学期の始業式の日だった。自宅から400メートル離れたところで、高さ4メートルのフェンスをよじ登り線路に飛び降りた。
学校は自殺の6日後に全校生徒を対象にアンケートを実施したが、「自殺の原因とみられる出来事は確認できなかった」と結論づけた。学校側の姿勢に不信感を強めた遺族が友人や保護者に対し独自にアンケートを行ったところ、「楽器を壊された」「Aさんが悪口を言っていた」「泣きながら歩いていた」など女子生徒が精神的に追い詰められていた様子が浮かび上がった。女子生徒は吹奏楽部に所属していた。吹奏楽部の同級生は「ノートがなくなったと聞きました。お盆明けから練習に来なくなった」などと話す。遺族は市教委にアンケートを開示するよう求めているが、市教委は応じていない。
男子より多い「仲間外れ・無視・陰口」
スタジオには教育評論家で法政大学教授の尾木直樹が出演した。司会の小倉智昭が聞く。「吹奏楽部って、意外にいじめが多いんですってね」
尾木「そうなんですねぇ。吹奏楽はみんなの心を合わせて行う素晴らしい共同作業。一致団結が求められるのですが、それだけに、ちょっとでも違うものがあると外すんです。先生や大人から分かりにくいところで起きるんですね」
小倉「女子生徒のいじめの特徴ってあるんですね」
尾木「これは典型的です。世界どこでも同じですけど、女子生徒は同調圧力が非常に強くって、トイレへ行くのも一緒でしょ。誘わない、目を合わさないなど、小さないじめが起こります。女の子の方が発見しづらいし、事件化しづらいんです」
リポーターの平野早苗によれば、中学の男女別のいじめの実態調査で、「仲間外れ・無視・陰口」は男子25・7%に対し女子34%。「激しくぶつかる・たたく・蹴る」は男子17・3%、女子6・9%。このことが警察の検挙・補導数にも影響している。今年上半期、「暴行、傷害、恐喝、暴力行為」などの容疑で検挙・補導された件数は男子が96件、女子6件と女子は圧倒的に少ない。女子のいじめは見えづらいという事情が数字からも読み取れるようだ。