<そうだ旅(どっか)に行こう(テレビ東京系8月14日深夜0時12分)>売れっ子芸能人のもとに1通の手紙が届く。便箋には「今日は休みにしておきました」と書かれている。突然休みをもらった芸能人は、どんな旅に出るのか。目的地なし、アクティビティー未定の旅だから旅人の個性が出る。仲良し2人組に旅の指令が下される時もあれば、ほぼ初対面のメンバーでの旅を強要される時もある。ふたを開けるまでどんな画が撮れるのかがわからないゆる~い旅番組だ。
「行先を決めるのはじゃんけん」「誰が支払うかは店員さん次第」
この日の旅人はウド鈴木と濱口優だった。以前、互いの相方がこの番組に出演した縁もあり、今回はボケ同士での旅となったらしい。顔を合わせたときからリラックスしきった雰囲気が良い。しかし、仲が良すぎるのも考えもので、なかなか目的地が決まらない。「じゃあ、東京駅か羽田に行って、雰囲気で決めよう!」。でも、今度は東京駅と羽田のどっちに行くかはどう決めるんだろう。ウドちゃんの「じゃあ、ぐっちょんが勝ったら羽田で」という提案でじゃんけんが始まる。
旅の出発地は東京駅に決まったのだが、ここで濱口が提案する。「ずんの飯尾さん呼ぼう、テレビだって言わないで」。このキャスティング、絶対スタッフの想定外だ。自由すぎて格好いい。運よく家にいたという飯尾和樹が合流し、再びじゃんけんを行う。そして、目的地はウドちゃんの故郷・山形とようやく決定。一事が万事この調子のズッコケ中年3人旅、大丈夫なのか。
やっぱり大丈夫じゃなかった。1週目の放送はなんと、米沢駅に着いてサクランボ農園に向かったものの、道に迷うというところで終わってしまった。その間に何をしたかというと、駅前のお弁当屋さんの看板娘に「カワイイ」を連発し、現地で見かけた美人姉妹に「カワイイ」をまたも連発…って、何やってるんだ。リーダーシップ不在の旅が続いていく。それでも「行先を決める時はじゃんけん」「誰が支払うかを決める時は店員さんに選んでもらう」などのルールが決まっていくのが面白い。
「この3人の中で、あなたが付き合うならだれ!」のノリで、行く先々の店員さんに「お金を出してほしいのは誰!」と絡んでいく。付き合うなら…だと同じ人に票が集まりがちなんだけど、支払うなら…だと結構割れるのもちょっと新鮮だ。
番組作らなければという責任感一切なし
何より、このゆるゆる旅でも飽きないのは、心底3人が楽しそうだからだと思う。番組制作のためにあのアトラクションに行かなきゃというような責任感が全くないし、お互いの駄目さ加減を「やっぱ俺らだめじゃーん」と笑い飛ばす感じにほっとする。
それに加えて、ツッコミがいたら適当なところで打ち切られるであろうウドちゃんワールドの野放し加減がすごい。モニターで旅を視聴していた番組MC内村良光の「ウドって年とらねぇんじゃないかな」の言葉がリアルだ。しかし、この旅の安心感を一番言い表していたのは、同じくスタジオにいた土田晃之のコメントだろう。「40過ぎで、こんなにギスギスしない3人組は他にいないですよ」。私もそう思います。ボケは世界を救う!