2人は「縁起がいいかもね」と言い合っていたのだそうだ。ロンドンの選手村のくじ引きで8番を引いて同室。同じ八戸出身で、試合が8月8日(現地)。「縁起」に違いない。そして、2人は金メダルをとった。女子レスリングの48キロ級の小原日登美(31)と63キロ級の伊調馨(28)だ。
伊調はアテネ、北京に続くオリンピック3連覇である。女子レスリングが正式種目になったのはアテネからだから、まさに勝ちっ放しだ。小原は31歳で「これが最初で最後」と臨んでとった金である。これも紆余曲折、大変なドラマの末だった。
「夫は友だち。同じ夢を追ってきた同志。パートナーです」
小原は51キロ級で国際試合8回優勝の「ベストレスラー」だった。しかし、五輪種目には51キロ級がない1階級下の48キロ級には妹の真喜子(26)、1階級上の55キロ 級には無敵の吉田沙保里(29)がいた。いったんは引退したが、自衛隊でトレーニングは続けていた。おととし、真喜子が結婚して引退したあとの48キロ級に復帰した。厳しい減量は夫の康司さん(30)が支えてくれた。自衛隊の後輩になる。
決勝はアゼルバイジャン選手との対戦となった。先にポイントを奪われ、それをはね返しての逆転だった。勝ちが決まった瞬間、小原はマットにひざをついて泣きじゃくった。オリンピックで女子レスリングが正式種目になると知って胸をふくらませたのが20歳のときだ。苦節の10年、 執念の10年だ。
司会の羽鳥慎一「ドラマがあり過ぎ」
立花胡桃(作家)「女子の3キロ 減量は大変。落ちないですよ」
ロンドンのスタジオで小原は、「金を皆さんに見せられてよかった。自分一人では勝てなかっ た。妹がいたから五輪の舞台に立つことができた」と話した。夫の康司さんは「先輩。奥さん。妻を超越した存在」といっていた。これを問われて、「友だち。同じ夢を追ってきた同志。パートナーです」
羽鳥「レスリング人生への金メダルだ」
伊調馨オリンピック3連覇!贅沢な悩み「自分のレスリング出しきれなかった」
伊調は攻撃的な動きで中国選手を圧倒した。観客席には引退して高校教師になった姉の千春(アテネ・北京で銀メダル)がいた。その声が聞こえたという。「タイミングがいいんですよ。天の声みたいで不思議だった」
北京のあと姉の引退もあって悩んだが、攻撃的なスタイルを作ってきた。「落ち着きのないレスリング。常に動いて攻めて」。それが存分に出せなかったのが悔しいという。「相手によって戦略を変えてしまった」と、これは贅沢な悩みかも。
女子のレスリングは今夜もある。吉田と72キロ級の浜口京子(34)だ。これは日本時間午後9時 からだからまだいいが、そのあとになでしこジャパンの決勝戦がある。やっぱり寝られそうもない。もっとも「モーニングバード!」はあすの放送はお休みで、この時間になでしこジャパンン決勝戦を流すのだそうだ。