ニッポンのお家芸といえば、かつて柔道、いま女子レスリングといったところか。アテネ五輪で正式種目になって以降、全階級、全選手がメダルを獲得し、金メダルも毎回ゲットしている。
1位じゃなきゃダメなことはないにしても、1位というのはわかりやすく、気分がいいことはあるだろう。レスリング女子は今回のロンドン五輪でも、さっそく2階級で貴重な金メダルを取って面目をほどこした。
五輪出場の道断たれショックで一時引退
フリースタイル48キロ級で優勝した31歳の小原日登美選手は「波乱万丈」の物語性がクローズアップされた。もともと51キロ級で活躍する選手だったが、女子レスリングが五輪に採用された際、51キロという階級は設けられず、48キロか、55キロのどちらかを選択することになった。48キロ級には妹がおり、55キロには強豪の吉田沙保里選手がいた。小原は55キロで吉田に挑んだが勝てず、そのショックなどから精神的に落ち込んだ。体重は75キロにまで増加したという。
「一時は普段の生活もむずかしいほど落ち込んだ」(先輩女子レスリング選手の山本美憂)状況で、競技も引退した。だがその後、妹のコーチにつくなどし、妹の引退後にオリンピックの夢を託されて、48キロ級で現役に復帰。今回の栄冠にたどり着いたという。
文
ボンド柳生