東京電力はきのう6日(2012年8月)、福島第1原発事故直後の社内のテレビ会議の映像を公開した。しかし、完全公開は総録画時間150時間分のうちたったの90分だ。 しかも、ぼかしや「ピー音」で映像をいじり、取材の人数、視聴時間を制限し、録画・録音禁止と、とても公開とはいえないシロモノだった。
150時間のうち公開たった90分。ピー音とボカシでやりとり不鮮明
東日本大震災から3日後の昨年3月14日、2号機の異常と3号機の爆発があった時の分割画面には、福島オフサイトセンター、東電本店、 福島第1原発、福島第2原発、柏崎刈羽原発のが同時に写っている。テレビ朝日の原発担当デスクの松井康真が150時間分を閲覧していた。報道1社につき2人だけが全体を見ることができた。松井は関心のある部分を選んで見たが、7時間半かかったという。そのうちからいくつか(公開部分)を見せた。
第1原発の吉田昌郎所長の声が飛び込んでくる。「本店!本店!大変です。大変です。3号機、多分水蒸気爆発がいま起こりました。11時1分です」
本店「了解、緊急連絡します」
吉田「免震重要棟じゃわからないが、地震とは明らかに違う横揺れと縦揺れが…。多分1号機と同じ爆発」
本店「はい、了解」
90分のうち音声があるのは30分で、これはその冒頭に出てきたやりとりである。松井は「吉田所長は取材もしているが、こんな高い声の人じゃない。水素爆発を水蒸気と言い間違えている。緊迫した状況だったことがわかります」と話す。こんなやりとりもあった。
吉田「安全委員会委員長、保安院長、官邸から、すぐ操作をやれというが、それでいいんですかと聞いてるんです」
清水正孝社長「吉田さん、吉田さん、清水ですが、班目先生の方式でいってください」
吉田「はい、わかりました。本店の指示が出ましたが、技術的に、武藤本部長、大丈夫ですか」
武藤「大丈夫だね」
吉田と原子力安全委員長の班目春樹の間で、方法論で意見が食い違った時のやりとりだ。吉田は武藤に助けを求めている。結果的にどちらの方式もだめだった。こんな場面もあった。
吉田「いまトライしてます。(ピー)」
本店「いまその話を班目先生から…」
吉田「すいません、本店、 (ピー)」
松井は「ピー音の連続で何を言ってるのかわからないんです。ピー音は電話番号を隠すのはわかるが、一般の社員の名前も隠している」