柔道の不振でメダルがとれないという雰囲気だったロンドン・オリンピック前半が、ここへ来て様相を変えた。競泳のメダル数が戦後最多となったのに続いて、種目で初というのが続出している。司会の羽鳥慎一が「週末にもまた増えた」というが、けさ6日(2012年8月)も3つで、トータルが「金2、銀12、銅13」となった。数ではこれまでの5番目で、北京を上回っている。さらにメダル確実がいくつかある。
「残り1秒の奇跡」フェンシング団体―エース太田のひと刺し
体操・個人総合で金をとった内村航平選手が、種目別の床で銀メダルになった。内村は「満足の出来がやっと最後の最後に出た」とすっきりした表情だ。「オリンピックには魔物がいる」と大技を封じた内村だったが、この日も「リ・ジョンソン」(後方2回宙返り3回ひねり)というG難度の技を抜いた。「もう1回オリンピックに出たいなと思っている」という。まだ23だものなあ。
バルセロナ五輪の床で銀をとった池谷幸雄が解説した。金をとった中国のスウガイ選手との差は「着地」だった。どう違うのかをスタジオにマットを敷いて、バック転でやってみせた。「さすが」と拍手喝采だったが、「20年前ですからね。若い人は知らない」。あー、タレントだもんね。
羽鳥が「すごい人だったんですよ」
体操の種目別ではまだ田中兄弟の平行棒にメダルの可能性が残っている。「兄弟で1位2位もありうる」と池谷いう。
いい意味で番狂わせのメダルはフェンシングだった。北京五輪の個人銀で一躍スターになった太田雄貴(26)は、今大会では個人では負けた。しかし、千田健太(27)、三宅諒(21)、淡路卓(23)との4人で団体銀をとった。準決勝のドイツとの試合は最後の1秒で太田が同点に持ち込み、延長戦を勝った。太田も「負けるかもと思った」といい、「残り1秒の奇跡」と継がれるかも知れない。
なでしこ明日未明「フランス戦」、男子・永井は出場できるか
卓球女子団体も準決勝で勝ち銀以上が確定した。日本の卓球で五輪のメダルは初。福原愛の悲願でもあった。司会の赤江珠緒は「愛ちゃんも号泣でした」と伝える。対戦相手はシンガポールで、一番手の福原愛がまず個人準決勝で石川佳純が負けた選手をストレートで下し、石川もまた別の選手に勝ち、さらに平野早矢香、石川のダブルスも勝った。その瞬間、矢野、石川が抱き合い、控えにいた福原は顔を覆った。福原は「北京が終わってから本当に悔しくて、夢にまで見たメダルを3人でとれてうれしい」。
会場にいた福原の母千代さんは「笑って帰れそうです。みんなに助けられて」としみじみ。幼かった泣き虫愛ちゃんの姿を、日本中が覚えているもんなぁ。決勝は7日。
サッカーはどうか。なでしこは明日7日未明にフランスと戦う。オリンピック前の親善試合で負けているが、対フランス戦の弱点がわかってかえっていいかもしれない。
サッカー男子は44年ぶりの準決勝である。「谷間の世代」といわれたのがウソのような快進撃だ。エジプト戦で先取点をあげたFW永 井謙佑選手のスピードが話題になった。モロッコ戦で時速33.57キロは、米国の短距離界のエースだったカー ル・ルイス級なのだという。そんなこと聞くとますます寝不足になりそう。永井はけがが心配だが…。