そう、4年前はこんな感じではなかった。放送現場は殺伐とし、スタジオの付近には警備員が配置され、フロアーのレイアウトまで変わる。スポーツ番組以外は隅に追いやられるような気分で過ごす五輪開催時の独特な空気感が漂っていた。けれど今回のロンドン五輪は、私の周りでは何かが違う。女友達の間での五輪の盛り上がり方が異常なのだ。深夜だからか、それともSNSが発達したおかげなのか。どれも間違った楽しみ方なんではあるが…。
どんなドリンクもサプリメントも高級化粧品も勝てないアンチエイジング
深夜1時30分。携帯電話がチャリーンと音を立ててSNSメールが来たことを告げる。「やばい、ドイツの選手がかっこよすぎる!!」という大学時代からの女友達からのメールだった。ハートの絵文字とともに送られてきた。体操個人決勝戦のドイツのイケメン選手を知らせてくれた。こんなふうに女たちの萌え魂に火が付いてしまっている。
男子体操個人決勝戦と日本男子サッカーの試合が重なった夜、どちらを見るべきか。私達の選択はどれだけイケメンが出ているかのみ。日本男子サッカー選手については、なんとなくそれまでの試合でメンツ、つまりはイケメンがどのぐらい出るかは分っている。それに、体操競技はまず上半身の露出部分が多い。そして汗をかいている肌そのものが拝める。結果、どうしても体操競技に目が奪われてしまう。
しかも、出場している選手がみな若い。これはまさに深夜、女子に注がれる美容液である。どんなドリンクだろうがサプリメントだろうが、高級化粧品や美容注射も勝てない、内面からのドキドキがある。それも恋愛映画の疑似恋愛とはまた違う、生の肉体が繰り広げる一世一代の大勝負だ。ハラハラしながら見守る気持ちは母性愛なのか。きっと女性ホルモンとアドレナリンが一気にドバドバ出ているのだろう。寝る前に朦朧としながら見るドキドキ感は、かなり脳に効くらしい。お仕事した脳科学者がそういっていた。つまりアンチエイジングとともに、時差で深夜に繰り広げられる熱闘はさびしい独身女子にはもってこいなわけなのだ。