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   ロンドンオリンピックが盛りである。柔道女子57キロ級の松本薫や28年ぶりの快挙となる内村航平の体操男子個人総合での金メダル、バドミントン女子ダブルスで初の五輪メダル獲得を決めた藤井瑞希、垣岩令佳ペアの活躍はあるものの、日本としてはここまで期待はずれの結果である。

   フジテレビ系のワイドショー『とくダネ!』で司会の小倉智昭は「日本の金メダルは13」などとホラ予想したが、視聴者に土下座して謝らなくてはいけないだろう。

オリンピック騒ぎに隠れて「増税」「原子力規制委人事」…こっそり国会通過

   ところで、私も知っている「NHK問題を考える会(兵庫県・代表 貫名初子)」が、「オリンピック放送のあり方についての要望と懇談会開催の申入れ」を「NHK大阪放送局 崎元利樹局長」宛てに出した。概要はこうである。

「オリンピックが7月27日から8月12日まで開催され、NHKは初日の28日午前4時20分から24時間体制のオリンピック放送をしています。
   しかしこの期間は国会開催中で、今後の国民生活にとって重大な問題が審議されている最中です。
   これまでのオリンピックとは違う状況にあります。国会では、オリンピック前まで大きな批判がおきていた消費税増税法案や社会保障の削減など、重要法案が国民の目を避けるかのように8月8日ごろ参議院での強行採決が予定されていると伝えられています。
   本来、これほどの大増税の中身と使い方について、NHKが正確に報道したなら、日本列島が騒然とするほどの大きな世論が起きる問題です。
   また、危険なオスプレイの配備問題や、原子力規制委員会の発足に伴う重要な国会同意人事案件などもあり、国会の外では、原発再稼働に対して、安保闘争以来と言われるほどの抗議行動が巻き起こり、どれ一つとっても、掘り下げた報道が求められているのに、NHKは、チラとしか報道せず、ほとんど真剣に取り上げていません。NHKの番組編成はまるでオリンピック専門チャンネルのようです。
   7月28日からこれまでのところ、国会で何が論議され、何が決まろうとしているか、一部国会中継がなされた以外は、国民には知らされていません」

   権力側の常套手段は、都合の悪いことは国民がほかに関心を奪われているときにこっそりやってしまうことだ。おまけに金メダルならともかく、銅メダル程度でも1面トップにもってくる大新聞の感覚もおかしいのではないか。オリンピック報道は国民から知る権利を奪っているといわれても仕方がない。せめて生中継だけにして、録画放送はEテレかBSにしたらどうか。

   国民全部がオリンピックに浮かれているわけではない。毎週金曜日に官邸を取り巻くデモの輪はますます拡がっていることを、報道に携わる者が忘れていいはずはない。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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