「誤解されてるみたいだけど、オレたちは『政治主導』が嫌なんじゃない。『バカな政治家のアホな主導は無視する』だけ。もし橋下がオレたちをうまく活用する気があるなら、いくらでも力は貸す。反対に公務員叩きで人気を取るだけの邪魔者なら、消えてもらうしかないけどね」
これは「週刊現代」の「官僚匿名座談会 橋下徹だけは潰してやる」の中での財務官僚の発言である。国交省の官僚は「橋下に総理になってほしいと思っている官僚は絶無」だと語り、その理由を経産官僚は「政権運営の入り口は必ず役人叩きになるから」だといっている。財務官僚は「大阪市は1800ある市町村の一つ。政令指定都市でも20分の1。同じ手法は国政では通用しない。市の職員とオレたちを一緒にするな」とすごんでみせる。
ここから読みとれるのは、民主党がここまでガタガタになったのは、官僚主導から政治主導にするなんてバカげたことをいって、オレたちを敵に回したからで、野田佳彦首相のように財務省のいいなりになれば助けてやるという、官僚たちの思い上がった考え方である。
水没の石巻市庁舎改修費用にたった2900万円。中央官庁舎改修は36億円
今週の「週刊ポスト」は「19兆円復興予算をネコババした泥棒シロアリ役人の悪業」で、自分たちの省益しか考えない役人への怒りをぶちまけている。東日本大震災から500日以上を過ぎたにもかかわらず、被災地復興は進んでいない。三陸海岸のガレキ処理はまだ2割にしか過ぎず、岩手、宮城、福島3県の仮設住宅には約27万人が暮らしているが、これまで着工した復興住宅はわずか229戸で計画の1・1%にすぎない。
東北復興が進まないのは被災者のための震災復興予算が役人たちに掠め取られているからだとポストは追及している。政府は震災復興のため、昨年度(2011年度)は3次にわたって約15兆円もの復興補正予算を組み、今年度分と合わせて総額19兆円の震災復興予算を集中的に投下することを決めた。
その財源を賄うために、来年(2013年)1月から25年間にわたる所得税引き上げと10年間の住民税引き上げという、長期間の臨時増税が実施される。そのほかに子ども手当の減額、高速道路無料化の廃止、国家公務員の人件費削減も決まった。
だが、国の予算は制約ばかり多く、被災地が本当に必要としている事業には使えない仕組みになっているというのだ。宮城6区選出の小野寺五典衆議院議員(自民党)がこう語る。
「被災地の自治体は壊滅状態だから税収もない。そこで復興に自由に使えるという触れ込みの復興交付金が創設されたが、使途が40事業に限定され、土地のかさ上げすらできない。気仙沼では水産庁の復興事業で漁港周辺の地盤を高くしたが、そこに以前あった商店を建てるのはダメだといわれた。これでは町の復興には使えません」
そのために昨年度の復興予算約15兆円のうち、4割に相当する約6兆円が使われずに余ってしまったのだ。被災者向けの復興住宅にいたっては1116億円のうち、使われたのはわずか4億円である。ポストによれば、大事な復興予算をシロアリ官僚たちがネコババしているというのである。
まず「不用額」とされた約1兆円は新設された「東日本大震災復興特別会計(復興特会)」に繰り入れられ、各省庁に分配される。国交省はその中から36億円を使って政府の官庁舎を改修する計画を立てた。
一方で石巻市役所は1階部分が水没し、5、6階の吊り天井が壊れるなどの被害が出たが、
「市庁舎改修工事」費用はわずか2900万円にすぎない。しかも、市の管財課担当者はこれは改修費用ではなく、加湿器と駐車場のLED電球の設置予算で、自治体が自腹で改修したら倒産してしまうと嘆く。だが、同じ石巻市にある国の出先機関の港湾合同庁舎には4億円の改修費用が計上されている。