きょう3日(2012年8月)も未明のドラマが続く。女子平泳ぎ200メートルで鈴木聡美(21) 、男子背泳ぎ200メートルで入江陵介(22) がともに銀メダルを獲った。
鈴木は100メートルの銅に続く快挙だ。初出場の五輪でメダル2つ。鈴木は「自己記録も大幅に更新することができて、100メートルよりいい色が獲れて本当によかった」とさわやかに話した。「楽しいレースができた。皆さんのおかげ」
200平泳ぎ鈴木聡美は銀でも「100よりいい色とれてうれしい」
2位が決まった瞬間、観客席から父の良二さんが「さとみ~っ」と叫び、母校・山梨学院大では仲間たちが踊りあがり、故郷の福岡・遠賀町では祖母が町の人たちとバンザイをしていた。「そうよ、みんな応援してたよ」
8歳から水泳を始め、2009年のインカレでトップに立った。持ち味は強いキック力だ。恩師は「足で日本チャンピオンになっている」という。だが、その後の「1.6センチの差」 の話が有名だ。10年のパンパシフィック水泳では、100分の1秒差で4位。「もうタッチの差では負けたくない」と工夫を重ねたという。
入江は渡邉一樹(25)と並んでの決勝だった。3選手がほぼ同時にゴールしたが、入江はライバルのロクテ(米)をタッチの差で抑えたものの、クラーリー(米)にやられていた。クラーリーは1分53秒41のオリンピック新記録。 入江との差は0.37秒だった。
出身の大阪・天王寺小学校には、午前4時だというのに大勢がテレビで見守った。姉の南緒さんの姿もあった。ゴールの瞬間、だれもが歓喜にひたったが、テレビ画面の入江に笑顔はなかった。6位に入った隣の渡邉選手と握手しても目は宙を泳いでいた。目標はあくまで金だった。
マイクにも「ずっと金メダルを夢見てやってきたので、後悔はある。いろいろな人に支えられて、声をからして応援してくれる仲間のなかで泳げたのは最高に幸せです」といったが、やはり笑顔にはならなかった。
バランスのとれた美しい泳ぎが武器だ。ペットボトルを乗せたままでも泳げる。しかし、初めて臨んだ北京五輪では5位。「自分より周りが世界一といって、そのギャップに苦しんだ」といったこともあった。
3年前に「幻の世界新」高速水着で公認されず
09年5月にオーストラリアで行なわれた日豪対抗戦で、入江は200メートルで幻の世界新を出している。1秒以上も縮めたのだが、高速水着が公認されなかったのだ。これで入江は金メダルしか眼中になくなった。観客席で応援していた父・智英さんも「悔しいだけだと思いますよ、あの顔見たら」。母の久美子さんも「100メートルの銅はうれしかったけどね」
シドニー五輪の400メートルリレー銅メダリスト・田中雅美がいう。「アメリカのソニという選手がトバしているのに付いていっている。自己ベストというのがすごいですよね。世界選手権で決勝に残ったことがないのに…」
司会の羽鳥慎一「笑顔がさわやかでしたね」
長嶋一茂(スポーツキャスター)「負けた時でも笑顔でしたね。強い人だ」
羽鳥「一方の入江選手は銀でも『負けた』と」
田中「ロクテに勝てば金メダルだという意識でレースに臨んでいて、勝ったと思ったらクラーリーが速かった、後半全然ばてなかったですね」
羽鳥「意識の中ではダメな2位となる」
田中「まだ22歳ですよ。北島選手は29歳だから、あと2大会くらいはチャレンジできる」
羽鳥「連日、感動しますね」
田中「まだリレーはあります。北島選手も見られる」
週末も寝不足か。