結果がなかなか出ない柔道で、女子57キロ級で松本薫(24)が初の金メダル、続いて男子73キロ級で中矢力(23)が銀をとった。ロンドンのスタジオから「モーニングバード!」に出演したのは中矢だった。現地は午前零時だ。
金を逃した選手の表情を見るのはつらい。中矢も「メダルをとれたが、目指していたものとは違う。自分が生かせなかった」と話す。「独特の雰囲気を味わったので、これから生きると思う」。試合中の激しさがウソのようにおっとり、木訥とした若者だ。
「右手が折れてもいいと思って前へ出ました」
中矢は五輪初出場だが、世界選手権で勝っている。だから金をとって当然というのは大変なプレッシャーだ。決勝戦で痛めた右手に包帯を巻いていた。ロシアのイサエフに腕を攻められて痛めた。
司会の羽鳥慎一「あのあと寝技を返しましたよね」
中矢「右手が折れてもいいと思って前へ出ました」
羽鳥「7月25日 が誕生日ですよね。イベントはなかったんですか」
中矢「ケーキくらいもらいたかったんですけど…」
ここで初めて笑った。「それはいまオフィシャルに監督に伝わったと思います」
羽鳥が「全身で実直な方だなという印象です」
舘野晴彦(月刊「ゲーテ」編集長)「普段ボクらが接している人とは違いますね」
羽鳥「どういう人と接しているの?」(大笑い)
「甘党なのでビッグパフェ食べたい、このくらいデカイの」
松本はビデオ出演になった。決勝戦は激しい闘いだったが、松本がバタッと倒されたところで突然終わった。相手のルーマニア選手の反則だった。「相手が技をかけているとき、支えの軸足を内側から刈ってはいけない」というルールがある。松本が倒れたのはそれだった。これをやられると倒れても受け身ができず危険なのだ。
松本の試合前の表情はすさまじい。「相手をにらみ殺す」といわれるほどである。ところが、優勝が決まってコーチにかじり付いた時はくしゃくしゃの泣き顔だった。そしてすぐ笑顔になった。57キロ級では初の金。「自分ひとりだけの金じゃないと勝った瞬間に思いました。48キロ級や52キロ級の分も頑張ろうと思って闘った」と言う。そして、「本当に甘党なので、ビッグパフェが食べたいです。これくらい」と料理のボウルくらいの大きさを手で示しながら笑う。
恩師・岩井克良さんは「一本勝ちなしで金メダルは珍しい。それだけ研究されていた。それでも勝ちましたからたいしたもんです」と顔をほころばす。
司会の赤江珠緒が「ロンドンは深夜零時半を回ったので、松本選手にはおいでいただけませんでした」と断りを入れたら、スケート金メダリストの清水宏保が「ボクのときなんか、夜中でも次から次へと回った」。あれは長野だったもんねぇ。時差がなかったし、清水なら大丈夫だと?(^^)