福島原発事故にも共通する被害者置き去り
水俣で育ち、公式認定前から水俣病を見つめ続けてきた作家の石牟礼道子さんは怒る。「魚を食べたという証明を出せという。出さないと救済の対象にはならないという。この特措法の条文を作った役人は50~60年前に食べた魚の証明書を持っているのですか。
手落ちを隠すというか、正当化する手段だと思いますね。人間性の善なるもの、徳義、精神的な成長を国民とともに遂げることをやってこなかったんですね」
こうした国のお粗末な対応は、福島第1原発事故で高濃度の放射線を浴びた避難住民の将来とも共通してくる。仮に10年後、20年後に甲状腺ガンなど何らかの症状が出た場合、同じようなプロセス繰り返さないという保証はない。
モンブラン
*NHKクローズアップ現代(2012年7月25日放送「水俣病『真の救済』はあるのか ~石牟礼道子が語る~」