ウエイトリフティング女子48キロ級で三宅宏実(26)が銀メダルを獲得した。2000年のシドニー五輪で女子が正式種目となって以来、日本は初めてのメダルだ。メキシコ五輪銅メダルの父・三宅義行さん(66)を超える「銀」という快挙だった。誰よりも喜んだのはやはり父親だった。
娘から首に銀メダルをかけてもらって、「でかした。やったよ、OK。宏実を12年間支えてこられて、一緒に歩んできたんですから、その面ではよかったなと…」と自分が獲得したような喜びようだ。
シドニー五輪見て「ピアニストより重量挙げやりたい」
小さいころはピアニストになるのが夢だったという宏実のウエイトリフティングとの出会いは、シドニー五輪だった。「女性もこれだけできるんだとすごく感動した」のがきっかけという。
教えを請われた父親は初め反対したという。ところが、「私が高校の時に始めたときの重さが42.5キロ。その記録をその場で軽く上げてしまったんですね。宏実が本気でやるんだったら世界に通用する選手になるかなと思いました」と振り返る。「どうせやるなら五輪でメダルを取るんだぞ」という父娘の約束で、父をコーチに1日6時間の猛練習が始まった。
だが、2004年のアテネ五輪では直前に腰を痛めて9位、08年の北京五輪では減量に失敗して6位と無念の涙を流す。3度目になる今度こそ「しっかり結果を出します」と言い切って臨んで、見事に父との約束を果たした。
文
モンブラン| 似顔絵 池田マコト