「これまで声を上げなかった自分たちの責任」77歳安保世代
77歳の鈴木さん(仮名)はツイッターにも無縁の年金暮らしだ。「若い人や子連れの母親が来ているんだ。来ないと申しわけないでしょう」という。これまで声を上げなかった自分たちの責任も感じるという。安保世代である。「(当時のデモは)危険だった。あれでは長続きしない」
大学1年生の松田拓也さんは「ナマで見てみたい」と友人とやってきた。反原発もよくわからなかったが、同世代が声を上げているのを見て、それまでの無関心を恥じたという。
写真を撮っている女性がいた。激動のアジアを撮った大石芳野さんだ。撮りながら声をかけていた。「行かなければと思ったから来たと、あの真剣さはいままでなかった。だれかがやってくれると思っていたのが、自分がと思ったのだから真剣です」
映画監督の森達也氏はいう。「かつてのデモは集団だった。このデモはモチベーションが違う。イデオロギーがない。意見を共有したいというのは価値がある。日本ではなかったことだ」「1、2か月で終わるだろうと思っていたが、4か月というのは本物ですよ。デモの効果より、意識をもったことで社会は変わりますよ」
森氏は原発が爆発したことで、お上まかせだった現実に気づいたとも話す。そうだ、もし政府が巧みに対処していたら気づかなかったかもしれない。政治の混乱もまたいい教材になったとは、喜ぶべきか悲しむべきか。
ヤンヤン
*NHKクローズアップ現代(2012年7月26日放送「デモは社会を変えるか ~声をあげはじめた市民たち~」