暑い日が続く。暑いとイライラする。イライラが高じるとプッツンと切れることもある。名古屋市営バスの男性運転手もプッツンしてバスを暴走させた。幸い事故には結びつかなかったが、乗客にも心すべき教訓を残している。「ニュースアップ!」コーナーで取り上げた。
ハンドル左右に激しく回し60キロで蛇行・急ブレーキ
運転手が切れたのは6月28日(2012年6月)の昼過ぎのことだった。突然、蛇行運転したあと、バスの中に乗客を残したまま立ち去ってしまったのだ。きのう25日(2012年7月)に公開されたバスに取り付けられたカメラの映像に、その一部始終が収められていた。
名古屋市中川区の始発の停留所で8人の乗客が乗り込むところから始まる。乗り終わったころ、外から1人の男性が「ちょっと聞いていい?」と運転手に道を尋ねる。「あのねえ、東海通り(?)に行きたいんだけど、まっすぐかな」。運転手は「左回り――(よく聞き取れない)」といいながら、運転席の地図のようなものを見ながらていねいに受け答えをしている。と、その時、車内後方から乗客の1人が「はよ行かんかい、ぼけ!」と怒鳴った。さらに「あほ!」と続ける。出発時刻を過ぎていたため、イライラして早く出発しろと怒ったのだ。バスは予定時刻を1分遅れて発車した。
そして、14分ほど走ると、運転手はハンドルを左右に激しく回し始める。バスは蛇行しながら60キロのスピードで走行、そして急ブレーキ。座席から投げ出された乗客もいる様子だ。「何やっとるんじゃ」と乗客の声。この後、運転手はシートベルトを外し、帽子を投げ捨てバスから降りる。約1時間後、営業所の近くでぼーっとしているのを同僚に発見され、歩いて営業所に戻ったという。上司には「乗客から早く行ってくれといわれて感情が高ぶってしまった」と話している。
普段はおとしいが一般車と揉めて3か月停職の過去
営業所長によると、この運転手は勤務歴7年8か月の39歳。「とくに目立つような職員ではなく、おとなしいタイプ。勤務態度にはとくに問題はなかった」という。だが、2007年に乗客を扉に挟んで口頭注意を受け、2010年には一般車のドライバーと揉めてドライバーにバスで接触し、3か月の停職処分を受けている。名古屋市交通局はきのう25日付で懲戒免職にした。
タレントの松尾貴史「運転手としての適性は欠いていたかもしれないが、悪い人ではなかった。乗客の言葉も端から罵声を浴びせるような感じでしたね」
司会の羽鳥慎一「はよ行け、ぼけ。あんな言われ方をされたら、ちょっと…」アナウンサーの小松靖は「やっぱり感情は高ぶってしまう。許されない。絶対やってはいけないことですが」と話す。
駅員やタクシー運転手とのトラブルが最近増えているが、ちょっとしたことで熱くならないことがお互いのためという教訓だ。