昆布で上手に出汁を取る―プロでもなかなか難しいが、大阪の昆布問屋の主人・喜多條清光さんは革命的な昆布の使い方を編み出した。「昆布水」だ。昆布出汁ではない。水に昆布を入れてひと晩おくだけなのだが、そのまま飲んでみると「ただの水」。それどころか「ちょっと臭いような水」なのだが、これを沸かすと「とんでもなくおいしい水」に豹変するのだ。
1リットルの水に昆布10グラムを冷蔵庫保管
昆布水の旨味を十分に引き出すコツは、「平べったいだし昆布を細かく細切にして旨味成分が出やすいようにすること」(喜多條さん)で、1リットルの水に昆布10グラムが目安だ。これで「湯を注いで3分」の即席ラーメンに使った内藤裕子アナは「エッ、全然違いますね。本格ラーメンです」と驚く。
これからの季節、そうめんや冷たいそばのつゆの希釈、蒸し野菜の蒸し水、冷凍魚介類の解凍、カレー、シチュー、ビシソワーズなどに使えば、アッと驚くワンランク上の料理になるというわけである。
喜多條さん「使い終わった刻み昆布はタップリのオリーブオイルにひと晩つけておけば、ハムと玉ネギのチャーハン、ハンバーグの挽肉に合わせれば焼き上がりでケチャップやデミグラソースがいらない程おいしい」
日本一の昆布県・富山では「昆布酢」
1世帯当たりの昆布の支出金額が日本一は富山県。餅にもパンにも昆布入りが定番で、香典返しも昆布が使われる。そんな土地柄で昆布屋の女将・四十物雅子さん(81歳)のお薦めなのは、「昆布酢です。これは酢を万能調味料にかえてしまうんです。茹で卵は臭みがなくなり、カレーにも臭みが取れてまろやかに美味しくなります」。作り方は簡単、酢400ミリリットルに昆布10グラム(10センチ四方1枚)を入れてひと晩置くだけだ。
(磯G)