大津市立皇子山中学2年の男子生徒の自殺で、父親が18日(2012年7月)、加害側の同級生3人を大津署に刑事告訴した。これまで父親は3回にわたって被害届を出そうとしたが、そのたびに「被害者が死亡して捜査が難しい」と大津署は受理せず、4回目にしてようやく受けとった。
被害生徒の父親「罰を受け謝罪し更生してくれることを望む」
告訴後に記者会見した父親の代理人弁護士によると、容疑は学校側が全校生徒を対象に行ったアンケート調査の回答をもとに、暴行、強要、器物損壊、脅迫、恐喝、窃盗の6つに及んでいる。弁護士が読み上げた父親のコメントは、「今回ようやく告訴を受け取ってもらい、息子に報告できる。事実が解明され、加害少年が罰を受け、自分がしたことを謝罪し、しっかり更生してくれることを望む」だった。
その同級生3人は、誰かが知恵をつけているのだろうが、反省どころか、警察の調べに対して「いじめではなく遊びだった」と否認しているという。全校生を対象にしたアンケート回答が正しければ、連日の殴る蹴る、ハチを食べさせる、執拗に自殺の練習をさせるなど、遊びにしては度が過ぎ、間違いなく犯罪だ。
「生徒証言の信憑性」「親の同意」「14歳未満」
「とくダネ!」はいじめの立件に立ちはだかる厚い壁を取り上げた。元東京地検検事の落合洋司弁護士は「壁は3つ」あるという。「1つは証言の信ぴょう性。刑事事件として立件していくうえで、周辺の中学生の証言が相当影響していく。年が若いので信用性について慎重に判断する必要がある。
2つ目は親の意向。参考になるような周りの生徒の証言も親の協力が得られないと難しくなる。3つ目は被疑者になっている同級生3人が、14歳未満であれば『刑事未成年』として刑事処罰を受けることはない。そうした状況の中でどこまで捜査ができるか問題になると思う」
それでも刑事事件として取り上げる必要があると、コメンテーターの山口義行立教大経済学部教授はこう指摘する。「いじめは、いじめた本人たちが罪の意識もっていない可能性が高いが、暴行とか脅迫とか…、これを街中でやった場合は当然犯罪ですよね。しかし、学校だと何となく曖昧になってしまう。(学校の)外に出して、社会のルールの中で反省させることは必要なことです」
その何となく曖昧にしてしまう学校の対応が、今回は度が過ぎている。同級生3人の反省もさることながら、学校の校長以下の教師たち、市教育長や教育委員の面々も社会ルールの中で反省してもらう必要を感じる。