「エネルギー・環境の選択肢に関する意見聴取会」というバカバカしく長い名前のリスニングが行われているが、バカバカしいのは中身の方だったようだ。きのう16日(2012年7月)に名古屋で行なわれた聴取会には、一般参加者が86人、うち抽選で選ばれた9人が意見を述べた。
9人の選考は、2030年時点での原発依存度を「0%」、「15%」、「20~25%」という3つの選択肢を明示し、各選択肢から抽選で各3人づつが意見を述べる。この「20~25%」という原発依存率が最も高い選択肢を支持する発言者のなかに中部電力の社員がいた。
名古屋では中部電力課長、仙台では東北電力執行役員とOB
中部電力社員(46)は原子力部門に勤務する課長級で、「個人の意見として原発を推進する立場から」として、「福島の事故で放射能の直接的な影響で亡くなった方はひとりもいません。それが今後5年、10年たっても、この状況は変わらないと考えています」と主張した。会場からは「うそつけ」「よくいうよ」という声が出たが、彼はさらに「これは疫学のデー タから見たら、まぎれもない事実です。それは5年、10年経てばわかります。私は35%シナリオがあれば35%を、45%があれば45%を選択します。それはその方が安全だからです」と続けた。
彼はさらに終わってからも記者たちに「このままだと本当に日本がダメになる」「脱原発というミスを心配している」と話していた。いつものことだが、記者たちはだれも有効な反論はしなかったようだ。福島では老人施設から強制的に避難させられる中で、何人が死んだか知ってるのか。また、これから福島第1の作業員から被害が出ないとどうして断言できるのか。疫学はただの統計数字にすぎないんだよとだれも聞かなかった。
おととい仙台で行なわれた聴取会でも、「原発推進派」の発言者2人が東北電力の執行役員とOBだった。執行役員は「会社の考え方をまとめてお話ししたい」と会社の考えを述べていた。ここでも当然、「人選がおかしい」「やらせだ」などの声があがり、居合わせた細野豪志・原発担当大臣が釈明に追われる場面があった。