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タイ・チェンマイで急増する「日本人年金老人」ロングステイの果ての孤独死

   新潮の巻頭特集「『細野剛志原発担当相』を『選挙の顔』に担ぐ衆愚政治」は「そんなバカなことが」と思わせるだけである。「大津市『いじめ自殺』加害生徒たちの家庭環境」も、加害生徒の母親がPTA会長だったり、父親が京大医学部卒だったという新事実はあるものの、掘り下げ方が弱い。

   それよりもタイのチェンマイに高齢の日本人が多く住み、孤独死するケースが多くなっているという特別読物をおもしろく読んだ。もともとタイ北部の古都チェンマイは、日本人の年金生活者の長期滞在先として人気があるところだ。ロングステイ先としてはマレーシアに次いで2位。ハワイやオーストラリアを凌いでいる。

   家賃は中クラスのコンドミニアムで日本円で約1万8000円ほど。タイ風焼きそば「パッタイ」が100円前後、夕食を少し豪華にしても1000円から1500円ほどだというから、月5万円程度で暮らせるようだ。

   ところが、過去4年間で年間15~20人程度だった日本人死者の数が、今年は6月までで14人になったというのだ。3年そこで暮らしていた63歳の男性は孤独死した。現地在住15年になる85歳の老人は「理想は西行のように野垂れ死に」と笑う。部屋をサイケデリックに飾っていたホモセクシュアルの71歳の男性は、死後しばらく経って発見された。蓄えがないため、脳梗塞で倒れても満足な治療を受けられずに亡くなった72歳の老人。チェンマイの日本人関係者がこう語る。

   「今後、チェンマイで日本人の孤独死が急増していくことは間違いありません。そのとき迷惑するのは周囲の人たちです。海外で暮らすなら、最後のことまで考えてもらいたい」

   年金生活者のパラダイスだったチェンマイにも、超高齢社会の問題が集約された「プチ日本」が築かれつつあるようだと、筆者のジャーナリスト出井康博は結んでいる。

   私は最後のときをフィンランドの雪の中で迎えようと思っている。フィンランドには多くの森がある。そこへ分け入ってウイスキーを呷り10錠程の睡眠導入剤を飲む。後は雪の上に横たわれば、春まで見つからないで静かに休むことができる。だが、地元の人には迷惑な話だろうな。考え直そう。

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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