「橋下徹は女子高生のようなオッサン」幼児性喝破した適菜収の切れ味鋭い!

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言葉幼く自分の立場わきまえない気分子どものままの若く見られたくてしょうがない大人

   「橋下(徹大阪市長=筆者注)はタレント時代に『能や狂言が好きな人は変質者』と発言している。府知事時代には文楽を見て『2度目は行かない』と述べた。文楽協会や大阪フィルハーモニー協会への補助金カット、市音楽団の廃止、中之島図書館の廃止を目指す彼は、どこに文化的な価値を見いだしているのだろうか? 橋下の好きな音楽はORANGE RANGEの『花』である。感動した小説は『いま、会いにゆきます』。好きな食べ物はラーメン。応援しているスポーツ選手は亀田興毅。一体どこの田舎の中学生か。(中略)

   彼の幼児性は、国家社会主義ドイツ労働党(ナチス)のアドルフ・ヒトラーと酷似している。(中略)わかりやすい正義を唱えて、『大衆の共通の敵』を作り上げ、排外主義を扇動する。市職員の『思想調査』を行い、内部告発や密告を奨励する。そして、『僕が直接選挙で選ばれているので最後は僕が民意だ』と民意による独裁を正当化する。(中略)

   毎日新聞の全国世論調査(6月)によると、次期衆院選比例の投票先に橋下が率いる『大阪維新の会』を選んだ人が28パーセントに上ったという。候補者が一人も決まっていないのに、全政党の中でダントツの1位。大人は総じてバカになったのである」

   これは「週刊新潮」の特別読物「『女子高生』オジサン化で『B層』の社会学」というわけのわからないタイトルで、適菜収(てきな おさむ)が書いている文章だが、すこぶる切れ味がいい。彼は30代後半で、フリードリヒ・ニーチェを解説する著作を発表している哲学者らしいが、私は初めて知った。だが、一読しておもしろい論客が出てきたと感じる。

   B層とは、平成17年の郵政選挙の際、内閣府から依頼された広告会社が作った概念で「マスメディアに踊らされやすい知的弱者」を指すらしい。適菜は、渋谷で出会った「早く風呂に入って寝てえ!」「肉が食べたい」「腰が痛い」と話しているオッサンみたいな女子高生3人組の話から入り、頭はハゲかかっているのに、とにかく若く見られたくてしょうがない、気分が子どものままの大人が増えていて、しかもそれが非難されるのではなく尊重されるような世の中になっていると見る。こうした意味で、民主党は女子高生ようなオッサンだらけだとして、こう批判する。

   「鳩山由紀夫の頭の中は、かつてのコギャルやチーマーとそれほど変わらないのではないか」「菅直人は、自著で独裁と反文明主義を賛美する狂人だった」

   そして、言葉が幼くて、自分の立場をわきまえない大人の代表として、橋下大阪市長を評したのが、先の言葉である。

   随所に哲学者の言葉を入れながら、意外にも女子高生たちに期待を寄せる。「女子高生のオッサン化は、キャピキャピと浮かれ続ける醜悪な大人たちに愛想をつかしたからではないか。社会の幼児化に本能的な警戒心を抱いているからではないか。(中略)日本の将来を救うのは、むしろ現実から目を背けない女子高生たちもしれない」

   この見方に私は違和感があるが、最後に引用しているスペインの哲学者オルテガ・イ・ガセトの言葉はいい。

   「過去は、われわれが何をしなければならないかは教えないが、われわれが何を避けねばならないかは教えてくれるのである」

元木昌彦プロフィール
1945年11月24日生まれ/1990年11月「FRIDAY」編集長/1992年11月から97年まで「週刊現代」編集長/1999年インターネット・マガジン「Web現代」創刊編集長/2007年2月から2008年6月まで市民参加型メディア「オーマイニュース日本版」(現オーマイライフ)で、編集長、代表取締役社長を務める
現在(2008年10月)、「元木オフィス」を主宰して「編集者の学校」を各地で開催。編集プロデュース。

【著書】
編著「編集者の学校」(講談社)/「週刊誌編集長」(展望社)/「孤独死ゼロの町づくり」(ダイヤモンド社)/「裁判傍聴マガジン」(イーストプレス)/「競馬必勝放浪記」(祥伝社新書)ほか

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