ニューヨークは「「障害者、高齢者に席を譲らないと罰金50ドル」
優先席の始まりは、1973年9月に旧国鉄が「シルバーシート」を設けてからで、これが私鉄にも広がり、今ではすべての車両に優先席がある。このスタートが間違いのもとだったのではないか。高齢者が吊り皮につかまって立っていても、優先席という指定席があるのだから、座りたければそっちに行けばいいと席を譲らないことが増えた。優先席を作ったことで、譲らない理由付けを与えてしまったのだ。
優先席不要の理由を小倉は、「弱い人に席を譲るのは当然だ」からという。優先席を設けたことで、弱い人に対しいたわる心を薄める作用をしてしまったというのだ。
この「最優先席」がさらに高じると、行きつく先はニューヨークのように「障害者、高齢者に席を譲らないと罰金50ドル」となる。小倉が最後に吠えた。「日本はそういうシステムを作らなくても譲り合いの精神、美徳のある国だったんじゃないの」
文
モンブラン| 似顔絵 池田マコト