滋賀県大津市の中学2年生が昨年10月(2011年)、いじめられた末に自殺した事件で、滋賀県警はきのう11日(2012年7月)夜、市立皇子山中学校と大津市教委を家宅捜索した。直接の容疑は、昨年9月の体育祭のときの3人の生徒による暴行だが、警察はいじめの全容と学校・教委の対応なども調べるとしている。
被害者生徒の親にも誓約書書かせて口止め
学校は自殺した生徒の父親に「いじめはなかった」としていたが、昨年10月に生徒に行なったアンケート調査の結果、「いじめはあった」と認めた。しかし、自殺といじめの因果関係には一貫して「わからない」としている。父親は学友からの聞き取りなどをもとに、いじめを続けていた3人の生徒と大津市に損害賠償の訴えを起こした。
とくに、昨年11月に行われた2回目のアンケートでは、 「自殺の練習」「葬式ごっこ」などの具体的な記述があったのに、学校・教委はほとんど追跡調査を行わなかった。「朝ズバッ!」の取材では、いじめに関する記述188件のうち3件しか調査していなかった。「自殺の練習」などについて教委は10日、「気がつかなかった」と説明している。
さらに、アンケート結果を父親に渡す際、教委は「部外秘を確約する」という誓約書を書かせていたことも明らかになった。父親は「やむなくサインしたが、真相解明を遅らせる結果になった」という。
直接容疑は昨年9月の体育祭での暴行
父親はこれまで3回も被害届を出そうとしたが、大津署は受理を拒否し続けてきた。「被害者死亡の場合、殺人などでなければ事実認定が困難」というのが理由だが、滋賀県警は25人態勢の特別捜査チームを作り、市教委、中学校を捜索した。昨年9月29日の体育祭で、同級生3人が自殺した生徒の手足を鉢巻きで縛り、ガムテープで口をふさいだりした暴力行為法違反容疑だ。捜索では学校からノート、日記、出席簿など86点、 教委からは43点を押収した。今後、加害生徒への聴取も行なうという。だが、自殺から9か月である。越直美・大津市長は「子どもたちの教育の場に捜査が入ったことは残念だが、真相解明のために全面的に協力していきたい」と述べた。
司会のみのもんた「表に出ないいじめはすごい数になるんじゃないですか」
教育評論家の尾木直樹「ものすごい数ですよ」
みのが小中高生の自殺統計の表を見せた。警察庁発表は300人前後だが、文科省の調査ではほぼ半数だ。このうち、いじめにあったと判断した児童生徒数は、「6人、6人、3人、2人」(みの)といった数字だ。
みの「なんでこんな違いが出るの」
尾木「県から文科省に報告が来る段階で減ってしまう。ずさんなんです」
小松成美(ノンフィクション作家)「だれかが意図的に隠してる?」
尾木「そうです」
「いじめと自殺の因果関係」どこまで迫れるか
みの「いじめと自殺の因果関係は認められないというのが決まり文句ですけどね」
尾木「学校や文科省に『認められない』と言う資格はない。それを判断するのは司法なり医師なりの専門家です。何を考えているのか」
警察の動きを若狭勝(弁護士)は「子どもの暴行だけで警察が捜索というのは違和感がある。自殺教唆罪が念頭にあるのかもしれない」という。ただ、これをいじめで適用した例はないという。
小松「いじめで自殺があると、教師の責任になりますよね」
尾木「だから出したがらない。先ほどの数字の差になるんです。今回も2つの隠蔽があった。アンケートを隠しただけでなく、その先の調査もしなかった。知りたくないというのが目立つ」
こうなると教師の資質に行きつくのだろうか。自殺を止めさせる方に目が向くのは仕方ないが、加害生徒を止める、ガツンとやることはできないのか。それが警察にしかできないとは情けない。